許嫁が幼女はさすがに無理があります

第16話 学校を案内してみた

　職員室に着いた俺を迎えたのは、るかちゃんと武本家の人たちだった。

「やぁ、久しぶりだね、陽一君。今日は、よろしくね。」

「は、はぁ、それは分かってますが一人じゃなかったんですね……」

「誰も一人でなんて言ってなかっただろ？」

「そ、そうですね………」

　武本家の人たちなのだから当然、静香もいる。

　静香は、学校帰りなのかランドセルを持ったまま来ていた。

「それで、なんで急に俺に学校を案内してほしいんですか？」

「君がどんな学校にいるのかと君の学校生活を知るためだよ。」

「は、はぁ、分かりました。どんなところを回りたいんですか？」

「陽一君に任せるよ。」

「それじゃ………って、るかちゃんどうしたの？」

　るかちゃんがずっと黙ってると思ったら少し顔を青くしながら俺たちを見ていた。

「なんか、顔色が悪いですよ。保健室に連れて行きましょうか？」

「だ、大丈夫です。上ノ原君、しっかりと案内してあげてね。」

「は、はい、分かりました。本当にキツいと思ったら無理しないでくださいね。」

「あ、ありがとう。それじゃ、行ってらっしゃい。」

「それじゃ、和博さんたち、付いてきてください。まずは、俺達が使っている教室とかを案内しますよ。まぁ、教室に行っても生徒はほとんどいないと思いますけど。」

「いや、それでも構わないよ。」

　ということで俺は、武本家の人たちを連れて教室のあるフロアまで向かった。

「陽一君、学校生活楽しい？」

「え？あ、ああ、そうですね、まぁ、楽しいですよ。」

「成績の方はどうなんだい？」

「うっ！………ま、まぁ、ボチボチ………」

「ははっ、その様子ならあまり良くないようだね。でも、僕も学生の頃はそんなもんだったよ。」

「ほ、本当ですか！？」

「学生は、勉強も大切だけど友達と遊んだりするのも大切だからね。かと言って勉強も頑張らないといけないんだけどね。」

「そ、そうですね……頑張ります……」

　そんな、他愛もない話をしているといつの間にか教室まで着いていた。

「ここが俺の教室、2ー4です。」

「うわぁ！懐かしいな！昔も今もあまり変わってないね。」

「そうなんですね、まぁ、教室なんてどこも同じでしょうから。」

「おや、あれは運動部かな？元気がいいね。」

　和博さんは、教室から見える外でやっている部活動を見て楽しそうにそう言った。

「陽一君は、何かの部活に入ってないのかい？」

「俺は、入ってないですね……」

「それは良かったよ。」

　ん？良かった？何が？まっ、いっか。

　それから俺は、学校を全て案内して終わる頃にはもう空は、暗くなっていた。

「いやぁ、悪かったね、こんな時間まで残らせてしまって。」

「いいですよ、全然。」

「ありがとう。もう外も暗いし僕たちの車で送って行くよ。」

「だ、大丈夫ですよ、悪いですし。」

「いいからいいから。あ、でも少し待ってね。先生方にもお礼を言いたいからね。」

「………あ、ありがとうございます………」

　チラッと静香の方を見ると………

「ふんっ！」

　そっぽを向かれてしまった。まぁ、いつもの事だ。

　とにかく何事もなく済んで喜ぶべきなのだろう。

　俺がそう考えている間に和博さんは、職員室に入っていった。

　職員室の中にて……

「あ、あの……上ノ原君は、粗相などしなかったでしょうか？」

「ええ、もちろん。それよりも桐葉先生、もう少し落ち着いてもらわないと私のことが陽一君にバレるでしょう？気をつけてくださいね。」

「は、はいぃぃ！」

　和博さんは、職員室に入ってから数分経ってから出てきた。

「それじゃ、帰ろうか。あっ、それと陽一君、お母さんにはもう許可を取ってあるから一緒に食事でもしようか。」

「す、すいません……お言葉に甘えさせていただきます。」

　もう許可も取っているということなので仕方なくお邪魔することにした。

「それじゃ、行こう。」