第6話 救出してみせます
俺は、車のドアを思いっきり開けようとするがビクともしない。
仕方ない、窓を割ってはいるか。
俺は、思いっきり車の強化ガラスを殴った。最初からだいぶ傷が入っていたため5発くらい殴ったところで人が入れるくらいの大きな穴が開いた。
その代わり俺の手は、ガラスが刺さり血だらけだ。
俺は、その穴から車内へと入った。
そして運転席にはぐったりとしている和博さんがいた。
「和博さん!大丈夫ですか!?」
俺がそう言って肩を揺するが和博さんから反応はない。
そうやっている間に車がギシギシと言ってきた。
「くそっ!まずは、ここから出るか!」
俺は、シートベルトを外して和博さんを抱えてから車の外へ出ようとする。
だが、窓の穴の大きさは、大人一人ぐらいしか入ることの出来ない大きさなので和博さんを抱えたままでは外へ出ることは出来ない。
俺は、まず和博さんから外へ出そうとする。
「お、お父様!」
和博さんを出したところで静香の和博さんを呼ぶ声が聞こえた。
だが、外を見るとこちらへ来る様子はなさそうだ。俺を信じてくれているのかな?そう思ってもらえているのなら少し嬉しいな。
よし、次は俺が出よう!
と思った瞬間。
「バカ!車が!」
「っ!」
俺が出ようとした瞬間、車の音が急に激しくなった。
そして………
俺の意識はそこで飛んだ。
静香side
私の目の前には病院のベットで横たわっている|バカ(許嫁?)がいる。
このバカは、お父様の車が押しつぶされそうになった瞬間、急いで車内から飛び出てきた。
そして飛び出た直後、急に気絶してしまった。
「………んん……」
「っ!」
陽一side
「………んん……」
薄らと目を開けるとそこは見覚えのない真っ白な天井だった。
「……こ、ここは……?」
「ここはただの病院よ。」
「っ!お前は……」
「だからお前じゃないわよ。」
そう言ったのは、俺が横たわっているベットの横に椅子を置いてそれに座っている静香だった。
「そ、そういえば、和博さんは!?」
「無事よ、あなたのおかげでね。」
「そ、そうか、良かった。」
良かった、和博さんは無事みたいだ。
「なら、静香は和博さんのところへ行かなくてもいいのか?無事とはいえ怪我はしてるんだろ?」
「ええ、もちろん行ったわ。あなたはついでよ。」
「あ、そうですか。って、今日何日だ!?」
「4月10日月曜よ。事故があったのは昨日。」
ってことは、もう学校始まってるじゃん!
学校に報告はしてくれてるよな!
俺、成績悪いから出席だけはちゃんとしていたのに!
「静香は学校行かなくてもいいのか?」
「今日は休んだわ。」
「え!?なんで?」
「昨日の今日だからね。特別に学校の方から休みを貰ったのよ。」
「うわっ!羨ましい!俺も特別扱いされないかなぁ?」
「そんなの知らないわよ。」
「あはは〜、そうだよなぁ。」
はぁ、1日休むだけでもだいぶ痛手だな。
頑張って勉強するべきか?
勉強やだな〜。
よし!明日から頑張ろう!
俺は、そう思い今日の休みの分は解決したことにした。
「それじゃ私は、そろそろ帰るわ。」
「そうか。わざわざ来てくれてありがとな。」
「ふん!別に気にしなくてもいいわよ。それじゃ。」
「ああ、じゃあな。」
そう言って静香は部屋から出ようとしたがドアの前で止まった。
「どうかしたか?」
「………お父様を助けてくれてありがとう。」
静香はそう言うと顔を真っ赤にして俯いた。
へぇ、静香ってお礼もちゃんと言えるんだな。偉い偉い。
「それだけ!別にあなたの許嫁を認めたわけじゃないから!それじゃ!」
静香は、そう言って今度こそ部屋を出て行った。
やっぱりあいつ、ツンデレだな〜。可愛い、可愛い。
「病院で走るなよ〜。」
俺は、聞こえているか分からないがそう一言言っておく。
「ってあれ?こういう時って医者を呼んでくれるんじゃないの?」
そのあと、母さんが来て医者を呼んでくれた。
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