許嫁が幼女はさすがに無理があります

白狼

第1話 出かけます!

 俺の名は、|上ノ原 陽一(かみのはら よういち)。

 どこにでも居る男子高校二年生………という訳でもない。



 いや、本当は普通の男子高校二年生だったんだよ?

 でもね、二年生になる前の一週間前の春休みに少し事件が起きてしまったんだ。

 その事件のせいで俺は、俺の日常は、一変してしまった。



 時間は遡り〜



 俺は今、春休みだというのに俺の通っている上ヶ原高校に来ていた。

 何故こんな所に居るかって言うと俺は、勉強が大の苦手で1年の単位が取れていなくて補習を受けたからだ。




「ふぁ〜、終わった終わった!ようやく俺の春休みだ〜!!」

 と言ってもあと1週間しかないけど。

「上ノ原君、あなたちゃんと勉強しないといけないんだからね!」

「はぁ〜い、分かってますって、るみちゃん!」

「るみちゃんって言わない!」




 俺が受けれているところに注意をしてきたのは俺たちの癒しの女神でもあり担任の先生でもある|桐葉 瑠美(きりは るみ)先生だ。

 身長は、160cmという低身長で童顔な顔つき。そのせいでいつも先生は、からかわれたりしている。

 でも、いつもそんな俺たちを笑顔で許してくれる先生、大好きだ!

 だけど、この先生、未だ絶賛彼氏募集中らしい。




「まぁ〜ま!るみちゃん!俺たちもここまで頑張ったんだから、少しくらいはハメ外せてよ。」

「後藤君も点数取れないんだから頑張りなさい!」

「えへへー」



 俺の肩に手を置いてフォローしてきたのは、俺の親友である|後藤 大輔(ごとう たいすけ)という男である。

 こいつも俺と同様、勉強が大の苦手野郎なのだ。




「二人とも、そんなこと言うんなら私が個人で二人を見てあげましょうか!?」

「おっ!るみちゃんに個人レッスン誘われたぞ!?どうする、大輔!?」

「るみちゃんの個人レッスンか〜。すごい嬉しいのだが、春休みとどっちを選ぶか。………うん!ここは個人レッスンだな!」

「やっぱり!?」

「二人とも、先生をからかわないの!」

「「ははは!!」」

「笑い事じゃありません!」




 それから少し先生とじゃれあってから家に帰宅した。




「ただいま〜」



 俺は、勉強をして疲労しているせいかだらしない声が出た。

 そんなだらしない声を出したあと家に上がろうとすると上の方からドタドタと走ってくるような音が聞こえた。




「お兄ちゃん、お帰り!」

「おお、ただいま、麗華。」



 俺を出迎えてくれたのは一週間後に中学三年になっている|上ノ原 麗華(かみのはら れいか)だ。もちろん、俺の愛する妹だ。




「あれ?母さんは?」

「今さっき大切な用事が出来たからって飛びたして行っちゃった。」

「へぇ〜、そうなんだ。大切な用事ってなんだろう?」

「さあ?」



 俺は、そんな疑問を抱きつつ家へ上がりリビングのソファで寝転んだ。



「お兄ちゃん、今から昼食作るから待っててね。」

「おう!悪いな!」

「もう、全く悪いと思ってないでしょ。」




 俺は、麗華が昼食を作り終えるまでテレビでも見て暇を潰す。

 正直、ニュースとか見てもよく分からないから録画していた深夜アニメをもう一度見てみるか。





「お兄ちゃん、出来たよ〜。」

「おお。」




 俺は、今アニメでちょうどいいところなのだが愛する妹が作ってくれた昼食を冷ますわけにもいかないので俺は、テレビを切って椅子に座る。





「いただきます。」

「いただきま〜す。」




 俺と麗華は、二人揃って手を合わせ合掌した。

 うん!いつ食べても美味しいね!




 そして時は流れ現在の時間は午後10時。




「お母さん、まだ帰ってこないね。」

「ああ、そうだな。」




 母さんは、まだ帰宅しておらず家には俺と麗華の二人しかいなかった。




「せっかく麗華が作った夕飯がもうだいぶ冷めてるじゃないか。勿体ない。」

「大丈夫だよ。お母さんが帰ってきたらレンジでチンするし。」




 俺たちがそう話している時に電話がなった。

 番号は全く知らない番号だった。

 出ようか迷ったがまぁ別に大丈夫だろうって思ってその電話に出た。




「はい、もしもし、上ノ原ですけど?」

「陽一?良かったわ、ちょっとあなたに伝えなきゃいけないことがあるの。」

「ん?母さん?こんな時間に何してんの?」

「ちょっと色々あったのよ。それよりも急だけど今すぐ着替えて。」

「え!?今すぐってどっか行くの?麗華は?」

「レイちゃんは、いいわ。」

「はぁ!?麗華をこんな夜中に1人で留守番させるつもりか!?」

「あんたそろそろ妹離れしたら?もう、レイちゃんも中三よ?」

「で、でも……」





 俺は、麗華の方をチラッと見る。

 麗華は、俺たちの話がどんなものか分かったらしく笑顔でこう言った。




「私は、1人でも大丈夫だよ。お兄ちゃん用事があるんでしょ?行ってきていいよ。ちゃんの鍵閉めるから。」

「本当か?本当に大丈夫か?」

「もう、大丈夫だって!」

「分かった。」






 俺は、麗華と話を終え母さんの方に戻る。




「分かった、すぐに着替えるよ。」

「早くね!」

「どこに行けばいいんだ?」

「家におっていいわよ。今迎えに行ってるから。」

「ああ、そうなの。あとどのくらいで着く?」

「10分ってとこね。」

「じゃあ10分以内に着替えを済ませるよ。」





 俺は、そう言って電話を切り急いで着替えを始める。





 そして約10分後。





「陽一、準備出来てる?」

「ああ、出来てるよ。」

「なら、行くわよ!」

「ど、どこに行くって言うんだよ!?」

「いいから!レイちゃんお留守番よろしくね。」

「うん!分かったよ、お母さん!」

「麗華、ちゃんと鍵閉めるんだぞ!夜怖くなったら俺の携帯に電話かけろよ!それとそれと………」

「ほら!行くわよ!」

「行ってらっしゃい〜」





 俺は、母に無理やり引きずられて車に乗った。

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