第3話
そのカーテンは外が明るいうちに見たことがあるが、特別分厚いものなんかではなく、むしろ薄い安物のカーテンにしか見えなかった。
それなのにカーテンの奥が真っ暗なのだ。
――?
俺は足早に部屋に戻った。
音はまだ続いている。
すると隣の住人は、真っ暗闇の中あの音をたてていることになる。
――おいおい……。
俺は想像し、その結果気味が悪くなってきた。
次の日の夜、音が始まると俺はすぐに部屋を出た。
そして下に降りてアパートの反対側に周り、隣の部屋の窓を見たが、やはり真っ暗なままだ。
そして部屋に戻ると、昨夜と同じく音は続いている。
改めて考えてみても、結論は一つしかない。
隣の見知らぬ住人は、何も見えない暗闇の中で、あの奇妙な音を毎晩出し続けているのだ。
――もしかして……。
自縛霊。
怨霊。
しかし隣には死んだ人間ではなくて生きている人間が住んでいることは確かだ。
このアパートに越してきたときに、引越しの挨拶のためにと大家から、三階で人が住んでいる部屋はどの部屋なのかを聞いたことがあるからだ。
しかし俺は未だかつて隣の住人を見たことがない。
俺の部屋はアパートの西の端なので、隣は一部屋しかないというのに。
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