暗闇で音がする
ツヨシ
第1話
音がする。
隣の部屋から。
もともと格安のボロアパート。
壁が薄いなんてしごく当たり前のことだ。
だから音が聞こえてくること自体はある程度諦めもつく。
しかしそれが毎晩なのだ。
音が始まる時間は決まっていない。
早いときは午後七時ごろから。
遅いときは午後十一時ごろから。
音が続く時間も決まってはいない。
短いときは五分くらい。
長いときは三十分くらい。
しかも何の音なのか何度聞いてもまるでわからない。
人が歩いている音ではない。
何かを引気ずる音?
いや違う。
家具などを動かしている音にも聞こえない。
それに毎晩家具を動かす人間なんて、少なくとも俺は聞いたことがない。
強いて言えば、重たくて硬くて転がすことが出来るものを転がしている音。
これが近いかもしれないのだが、微妙に違うような気もする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます