告白

魔法の練習が終わり、すでに夕日は落ちていた。


「そろそろ俺たち帰るわ」


「今日はありがとう」


「ああ、またな!」


「うん、また明日」


「おう!」


と言いミーシャとウルは一緒に帰っていった。あ〜なんて羨ましい、妬ましいんだろう。ん、ちょっと待てなんか忘れているような、、、


「あ、忘れてた。ちょっと待ってぇぇ!」


と僕は大声を叫んだんだけど当然聴こえてるわけないよね。どうしようせっかく覚悟決めたのに。と思ったその時、、、


「どうした〜」


あれ、おっかしいな〜悲しすぎて幻聴まで聞こえるなんて、相当ショックだったんだな〜


「おーい!へ・ん・じをしろぉぉ!」


「もしかして本物?」


「いや、本物だけど、、どうした?もしかして病気か?」


「いや、そうじゃなくて、帰り始めてから時間結構経っちゃってたから」


「あー、まぁ精霊たちが呼んでるって言ってたから来たんだけど、、、もしかして俺じゃなかった?」


「え!?あーまぁ確かにそうだけど。別に勘違いナルシストのことなんか興味ないとか思ってないから」


「は?誰が勘違いナルシストだよ。も、もしかてお前、俺のことそんな風に思ってたのか?」


「いや、こ、これは本音が漏れちゃっただけで、、、あ!」


「そうか。お前は俺をそんな風に思ってたんだな」


「ごめん」


「いや、まぁいい。許してやる。それで誰か呼んでたみたいだけど、もしかしてミーシャを呼んでたとか?」


「うん、そうだよ。ごめんね。じ、実はね、ミーシャに伝えたいことがあって、、、」


「へ〜そうなんだ。俺には言えないことか?」


「流石に恥ずかしいかな」


「いや、そこをなんとか」


「え〜嫌だよ〜」


「わかった。もう追求はしねえよ。じゃあ明日の朝、ジンユウの家に行くように言っとくよ」


「ありがとう、ウル」


「まぁ親友だからこれくらいはしてやるよ。じゃあ、またな!」


「うん、じゃあね」


本当は今日する予定だったんだけど、、、まぁいっか!そういえばやけに機嫌良かったな〜いつもなら「は?勝手にやってろ」とか言いそうなのに

一体何があったんだかなー。まぁいいや。とりあえず明日に備えて寝よ。

そしてベッドに寝転がるとそのまま意識が遠のいていった。



「汝、我に忠誠を誓え!さすれば、、、」


朝起きるとあの言葉を思い出す。あれは一体なんなんだ?まぁいいや、今日はミーシャに告白する日なんだから。そんな事いちいち気にしていられない。なに着ようかな〜やっぱり正装だよね。よし!支度終わり。はやく来ないかな〜今日で僕も彼女持ちかーいや〜最初はやっぱりキスかな〜あとデートもしたいな。ミーシャに可愛い洋服買ってあげなきゃ。きっと可愛いだろうな〜。


ピンポーン


ミーシャかな?僕は下に行きドアを開けた。そこには白いワンピース姿のミーシャがいた。や、やばい。めっちゃ可愛い!この子が今から僕の彼女かぁ〜。大切にしないと。


「そんなまじまじと見ないでよぉ〜」


「ごめん、可愛いかったから、、、」


やばいやばいやばい。可愛いすぎだろぉぉぉ!


「どうしたの?」


「いや、なんでもないよ」


「そうなの。あ!そういえばウルは?昨日ウルがオシャレしてジンユウの家集合な!とか言ってたのに当の本人がいないじゃない」


「えーとね。じ、実はね、僕がミーシャに用事があってウルに呼んでもらったんだ」


「そうなんだ。でもオシャレって、、、もしかしてパーティーでも開くの?」


「そうだね。いつか開くよ」


「ありがと」


やっぱ可愛い!


「それで用事のことなんだけど」


「何?」


「あの〜」


「どうしたの?友達なんだから、しっかり言ってほしいな」


「ミーシャ、君はとても可愛いね」


「え、ちょっ。急に可愛いとかやめてよ。照れちゃう」


「僕はそんな君のことが好きだ!僕と結婚を前提に付き合ってくれ」


「ありがとう」


「じゃあ」


「でも、ごめんね。私、好きな人がいるから」


「え?誰なのそいつ」


「じ、実はね、、、ウルのことが好きなの。だからごめんね。ジンユウとは付き合えない」


「そうか、、、君の気持ちが聞けて良かったよ、じゃあね」


僕は走りだした。ウルが好きと言ったとき、僕の中のなにかが壊れた。やばい、ウルを、ウルを殺したい。いや、何言ってんだ親友なんだぞ。殺せば、ミーシャは手に入るんじゃないか?ダメだ!絶対に俺は、、、。


「汝、我に忠誠を誓え。そしてウルを殺せ!さすればお前に圧倒的な力をやろう」


なんだ、この声。どこかで聞いたような気がする。今はそんなことどうでもいい。コイツは圧倒的な力をくれると言っていた。なら、ウルを殺せるのでは?違う!そんなことしてまで付き合いたいわけじゃない!


「汝が求めるなら、ウルの存在だけ消してやらんこともないぞ」


「っていうか、さっきからなんなんだよ!圧倒的な力とか、存在だけ消すとか、お前はなんなんだ」


「我か?我は魔王。全ての魔族を支配している王である」


「ま、魔王だと!?」


「そうだ、魔王だ」


「で、その魔王様がなぜ僕に力を貸そうとするの?」


「それはだな、、、勇者候補となるものを今のうちに消しておく必要があるからだ」


「勇者候補って誰のことだよ」


「ウルという少年のことだよ」


「マジかよ。ウルが勇者候補だと」


「そうだ。だが君には力がない。だから、彼女を守ることさえできない。だから我が力をやると言っているであろう?」


「本当にウルを殺せば力をくれるのか?」


「そうだな。実際はウルを殺す前に力をやろう。じゃないとウルに勝てないだろ?」


「そうだが、僕がこの約束を守るとは限らないだろ?もしも、裏切ったらどうするんだ?」


「そしたら、ミーシャという少女をこの世から消してやろう」


「うっ!わかった。ウルを殺すよ。僕が殺しても上手くやってくれるんだろ?」


「ああ。みんなから記憶を消しといてやる」


「わかった」


「よろしく頼んだぞ」


こうして僕は魔王と手を組みお互いの野望のため親友ウルを殺しにいくのだった。

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親友と思っていた奴に殺されたが他の身体に乗り移って生き残った件 いるか @irukanu

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