第24話
*
翌日、俺は学校に登校しいつも通り授業を受けていた。
「はぁ……人生って楽しいなぁ……」
「全然そんな感じの顔じゃないんだけど……何かあった?」
「ま……ちょっと良いことがあってな」
俺は休み時間に学と話しをしていた。
今日は彩が登校して来ていることもあり、昨日よりもクラスの中が騒がしい気がする。
「今日は彩音ちゃん学校に来てるね」
「……そうだな」
彩はいつも通りクラスの中心にいた。
まぁ、それはいつも通りなのだが……。
問題は俺の方だ。
「ねぇねぇ、緒方君!」
「……何?」
「そんな迷惑そうな顔しないでよ」
「そんな顔してないって……」
話し掛けてきたのは、西井と同じ陸上部の沢井美月(さわいみつき)だ。
昨日、西井と一緒に居るところを見られ、彼女が俺に興味を持ったのか、朝から今までずっとどうでも良い話ししに、俺の机にやってくる。
「ねぇねぇ、昨日は麗美とどこまでしたの?」
「その聞き方やめろ……」
「じゃあ、あの後は何してたの?」
「普通に家に帰ったよ」
「えー、それだけぇ? つまんない」
「つまんないってなんだよ」
沢井は頬を膨らませながら、俺にそう言う。
そんな事を言われても、こっちとしては別に西井とどうにかなろうなんて思ってないし。
どうにかなってしまったら、困るんだが……。
「あれ? 悠人と沢井さんって仲良かったの?」
「うん、すっごく仲良し」
「昨日まで俺の名前すら覚えてなかった癖に?」
まぁ、俺も覚えてなかったけど……。
「ねぇ、いつから付き合ってるの?」
「だから付き合ってねーっての」
「一緒に帰ってたのに?」
「それだけで付き合ってるとか言わねーだろ」
「じゃあ付き合ちゃえば? その方が面白いよ?」
「面白いからって理由で付き合えるかよ」
面倒くさい奴に興味を持たれたもんだな……。
俺はそんな事を考えながら沢井と話しをしていると、俺は誰かの視線を感じた。
俺は視線を感じる方に視線を向ける。
視線を向けた先では、彩が俺の方をジッと見ていた。 な、なんだ? 俺何かしたか?
何か言いたげな視線を向けながら、彩は直ぐに顔を反らした。
*
学校のお昼休み、私は友達と一緒に教室でお昼を食べていた。
「彩音ちゃん、昨日は何の撮影だったの?」
「ドラマの撮影だよ」
「あれでしょ! 今月9でやってるやつ! 私見てるよ!」
「ありがとね、でもちょっと恥ずかしいな……」
アイドルをしながら学生生活と言うのは大変だ。
勉強だってあるし、ドラマの台本だって覚えなきゃいけない。
こうやってクラスメイトとも仲良くしなくては、クラスでも浮いてしまうし……。
アイドルやるのも大変なんです。
そんな事を考えていると、教室に誰かが入ってきた。
「緒方君! お昼食べよー!」
「……お前さぁ……もっと静かに入って来いよ……」
「静かに入ってきたよ?」
「どこがだよ……」
入ってきたのは西井麗美。
一言で言えば私の恋敵だ。
昨日の一件から、悠人に対してなんだか馴れ馴れしい。
てか、悠人もなんであんなベタベタされて、何も言わないのよ!
声の大きさとかどうでも良いでしょ!!
「あ、彩音ちゃん?」
「な、何?」
「どうしたのか? 凄く怖い顔してたよ?」
「え! あ……な、何でもないの」
私はいつもの笑顔に表情を戻して、目の前の友達にそういう。
悠人は麗美に連れられて、そのままどこかに行ってしまった。
昨日は何もないなんて言ってたけど、なんだかんだ言って仲良くなってんじゃん!
悠人は私の事が好きなんでしょ!
なら私とだけ仲良くすれば良いじゃない!!
「あ、彩音ちゃん……」
「え……あ……ごめん……」
いつの間にか私はまた怖い顔になっていたようだった。
それもこれも悠人のせいだ。
悠人がさっさと私に告白さえしてくれれば、こんな気持ちならずに済むはずなのに……。
「……もう……ばか」
本当は私だって、学校でも悠人と仲良くしたい。
悠人と二人で昼食を食べたい。
でも、それは出来ない。
私が特定の異性と仲良くする訳にはいかない。
理由は私がアイドルだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます