馬の土偶
月のきおん
第1
私は子供の頃必ず風邪を引く子で、年に一回は学校を休んだ。
これはそんな小学5年生のクラスが同じ班の子、山井洋子が担任の先生に頼まれた、学級新聞を私キミエの家に持って来た時の話。
「山井と言います。今日はキミちゃんに先生に頼まれた新聞を持って来ました。それとこれも。」
山井はクラスの女子達に山はんとよばれている。この日山はんは、学級新聞の他に登呂遺跡に行った時のお土産を持って風邪を引いているキミエの家に持って来てくれた。
先生はキミエの風邪の様子も気遣いながら、家に行ってみたらと進めて来た。
「キミエー、山井さんが新聞持って来てくれたわよー。」
母親が玄関先でキミエを呼ぶ。
私は山はん来てくれたんだ!
足早に玄関に急いだ。
「山はんだー。新聞? ありがとう!」
「これ、新聞とこないだ行って来た登呂遺跡のお土産が有るよ、これだけど。風邪の方はどう?」
「今は風邪も楽になったよ、熱が下がったし。山はん来てくれたんだねーっ。この紙袋がお土産?」
私は熱が下がり楽になった体で今受け取った学級新聞と遺跡のお土産を受け取った。
山はんは体大事にしてね、と言い家に帰って行った。
山はんの気遣いに、ただだだ素直に嬉しかった。
「何だろー。お土産?」
私は小さな紙袋をセロハンテープで留めてある所から破り中に入っている物を確かめた。
手のひらに収まるその登呂遺跡のお土産は、小さな可愛い土偶だった。
ミニチュアの馬の土偶。
「可愛いー! お母さん、山はんこれ、私にくれたよー!」
私は手のひらがジーンと温かくなるのを感じた。
そして私は翌日普通に熱も下がり学校に行ったのだった。
馬の土偶 月のきおん @kioco
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