第55話 甘栗芋

 日本で新種のサツマイモが開発された。



 甘栗の様に甘いサツマイモ。



 その名も甘栗芋。



 大手を振って現れた新種のサツマイモであったが、周囲の期待とは裏腹に甘栗芋は流行する事もなく数日で市場から姿を消した。



 それから月日が経ち、甘栗芋の存在すら忘れかけられていた頃、日本から遠く離れたブラジルで何故かその甘栗芋が「甘くて美味い」とプチブームになった。



 その噂を聞き付けた日本の一流起業家達は、こぞって甘栗芋の専門店をブラジルに出店し、更なる大ブームを巻き起こした……かに思われたが、新種である甘栗芋の生産コストや出荷量の少なさに一流起業家達は頭を悩ませ、思っていた収支をつける事が出来ずにいた。



 ある者は、甘栗芋専用の畑を作り自社生産、ある者は、甘栗芋専門の農家と契約を結ぶ等の対応でコストを極限にまで減らし、チャンスを掴もうとした。



 しかし、そんな中、超一流起業家は何食わぬ顔でブラジルにこんな店を出店し、大成功したのだった。



 甘栗専門店。



 ーー【一流は流行に逸早く気付き、超一流は本質に逸早く気付く】

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