もうすぐ彼女ができそうな22歳の青年を皆で応援した夜。
大阪のとある飲み屋、カウンターで偶然隣り合わせた22歳の青年の話。
店長「彼女できた?」
青年「できそうなんですよ、昨日から」
店長「写メ見せてよ~!」他の客を巻込みながら。
青年「同窓会のデジカメ画像でいいですか?」
飲み屋客一同、見る見る。皆回して見る。「お~、かわいい娘やんか~!」
青年によればそのなおちゃんは幼馴染みで、正月に東京の同窓会で再会したという。その幼馴染みがこの春、地元東京から彼の住む大阪のどこかの会社に新入社員として赴任しているらしい。
昨晩メルアド変更メールをもらったのを機に熱いメールを交わしているとのこと。
青年「店長、来週水曜、この娘と飲みに来るから予約お願い!」
店長、笑顔こらえず「了解~」
周囲を巻込みながら、青年とその女性とのリアルタイムメール合戦が続く。
「メール上のハートマークに意味は無いで~」とか、「好きと書くのはまだ早いんちゃうか~」等、皆のアドバイスを受けながら。
散々、皆でラブメールの文面を考えては送信、受信、送信、受信。皆で一喜一憂する一体感が生まれていた。
例えば、なおメール「ぁたしもシンゴのこと気になってる(ハートマーク)」飲み屋客一同、大歓声等々。
ところが、あるメールの内容に疑念が湧き起こる。
青年メール「何月から大阪に来たの?」
なおメール「え!?ずっと」
飲み屋客一同、どよめく。
青年メール「正月の東京楽しかったね!」
なおメール「東京?行ってないよ!」
飲み屋客一同、ざわつく。
「東京の人は東京に行くやなく帰るって言わんっ?」
「残念やけど人違いちゃう?」
青年「間違いなく、“やまいなおみ”です!」
飲み屋客一同「電話しろ!」「確認せぇ!」
青年は当の幼馴染み、やまいなおみへ電話をかけた。
青年電話「俺今、なおちゃんとメールしてるよね!?」
やまいなおみ電話「どうしたの?してないよ」
青年は肩を落として皆に告げた。「メールは別人でした」
飲み屋客一同「ほんなら誰とメールしてたん?」
青年「おそらくなおちゃん違いの同期入社、“やまだなおこ”だと思います。恋愛感情はゼロです・・・」
飲み屋客一同「・・・オチも付いたし帰ろかな~?」
青年「店長、水曜日キャンセルで」
店長、笑いこらえて「了解~」
飲み屋客一同、三三五五解散。【了】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます