怒の19 VS緑レンジャー
「んで、赤レンジャーと黄レンジャーに緑レンジャーが俺に何の用なんだ?」
「誰が緑レンジャーだっ!」
「「だっ!」」
「おい、アリサ。何なんだ?この面白3人組は?」
「ぷくくく、緑レンジャーって・・・あははは」
緑レンジャーはアリサのツボに入ったらしい。
「おい!君!みっ嶺岸君を、よっ呼び捨てにするとはどういうつもりだ!」
「「つもりだ!」」
エコーが鬱陶しいよ、エコーが。
「いやいや、緑レンジャーには関係ないだろ?なあ?
俺は意地の悪い笑い方をしつつあえて呼び捨てで呼ぶ。
「だめ・・・緑レンジャーが・・あはははは」
アリサはテーブルを叩いて笑い転げている。
「きっ君こそ嶺岸君の何なんだ!嶺岸君!彼は君の・・・その、彼氏なのか?」
「「なのか?」」
「あはははは、ちっ違うけど、あははは」
「おい、いい加減立ち直れよな?」
「あははは、ごめんなさい。緑レンジャーが・・・くくく」
はぁ、全く次から次へとおかしなのが出て来るもんだな。
「で?何なんだ?緑レン・・緑くんは?」
これ以上緑レンジャーを連呼するとアリサがアホになりそうだからやめといてやろう。
「僕は嶺岸君の、恋人・・・候補だ」
「「候補だ」」
そこのエコーはいらんだろ?
「誰が恋人候補よ!候補にすら入ってないわよ!」
モグモグ
「なっ何を言っているんだ!僕がどれほど君を想っているかわかっているだろう!」
「「いるだろう」」
「知らないわよ!そんなの」
モグモグ
「あれほど僕は君への想いを伝えているのに!」
「「いるのに!」」
モグモグ、ゴキュゴキュ。
「緑川君の勝手な想い込みでしょ!いい迷惑だわ!」
「ごちそうさまでした」
やっぱり安定の美味さだなぁ、ここの春巻は。
「ちょっとミント!何一人で食べ終わってるの!」
「ああ、後は好きにやってくれ。俺いらんだろ?」
「まっ待ちたまえ!君も嶺岸君の恋人候補なら僕と勝負したまえ!」
「「したまえ!」」
「そんな・・ミントが恋人候補だなんて・・ミント!やっちゃいなさいよ!」
アリサが目を輝かせて俺を見つめてくる。
「何でだよ。いつから俺がお前の恋人候補になったよ?そもそも断っただろ?」
「さあ、僕と勝負してもらおうじゃないか!」
「「じゃないか!」」
いい加減にしてくれ、ほら、ギャラリーが集まってるし。
周りには理系と食堂に来ていた文系の連中が興味津々といった感じでこちらを伺っている。
「それとも恐れをなして逃げるかい?」
「はぁ、わかったよ、何で勝負するんだ?殴り合いでもするつもりか?」
「ふっこの僕がそんな野蛮なことをするわけないだろう?男の勝負ならこれだ!hey come on!」
そう言って赤レンジャーと黄レンジャーが持ってきたのは・・・チェスだった。
「まぁ野蛮な君にはちょっと高度過ぎてわからないだろうけど、どうだい?負けを認めてもいいんだよ?」
「なんだチェスかよ、いいぜ。アリサ、昼休みあと何分くらいあるんだ?」
「えっと20分くらいよ。ってミント、あなたチェスなんて出来るの?」
「ははは、まぁ見てな。ほれ、さっさと始めようぜ」
「やれやれ、まさか僕に勝てる気でいるのかい?ふっ実力の差というものを教えてあげようじゃないか!」
勝負の時はエコー入らないんだな。
5分後。
「チェックメイトだな」
「ばっバカな・・・この僕が僅か5分だと?」
緑レンジャーは盤上を愕然と見て高らかに宣言した。
「泣きの一回だっ!」
さらに5分後。
「ほい、チェックメイトな」
「そ・・・そんなバカな・・・」
緑レンジャーは再度高らかに宣言する。
「3度目の正直だっ!」
またまた5分後。
「諦めれって、チェックメイト」
「ぐはっ!」
「「緑川さん!」」
「「覚えていやがれ〜」」
緑レンジャーは赤レンジャーと黄レンジャーに担がれて退場していった。
何だったんだ?あいつらは?
「ミント・・・私のために?」
アリサの目がハート型になってる。
「んな訳ねーだろ、ちょっと遊んでやっただけだ」
「遊んでやったって、緑川君のチェスの腕前はかなりのものなのよ?」
「あれでか?」
「ええ、チェスの大会でも上位に入ってるくらいよ」
素人の大会か何かなのか?あれじゃあ俺の妹にも勝てないぞ。
「ふ〜ん、おっもう昼休み終わるぞ、お前も戻った方がいいんじゃないか?」
「もうこんな時間、もっと話したかったわ」
「また今度な」
「・・・うん!また今度!」
アリサは、満面の笑顔でそう言って食堂から出ていった。
騒がしい昼休みだったなぁ。
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