私の疑問

青山えむ

第1話 恋と愛の違い(1)

 中学生になった。少し前まではランドセルを背負っていたのに、今は制服を着て学校に行く。

 制服というだけで、少し大人になった気分。

 その制服だけれど、男子はズボンで女子はスカート。北国には中々辛い選択。

 男女不平等について申し立てしたいお年頃だけれども、私には知識が無い。あるのは好奇心と疑問。

 知識があったら、良い考えが浮かんだり、発言したり出来るかな。とりあえず、社会科の先生と仲良くしなくちゃ。


 私は三人姉妹、とよく表現される。実際に姉が二人いる。そんなに珍しいのかな。あぁ又疑問が出てしまった。

 少し歳の離れた姉によく注意される。くどい、と。


 紹介が遅れました、私は小林真奈美。中学一年生、将来の夢は模索中。

 友達とワイワイやるのが愉しいけれども男子の目も気になるお年頃。

 学校(教室)という王国の中で生きるフツウの子。


『恋と愛の違いは?』漫画でこんな台詞が出てきた。

 

 私からしたら恋は大人未満で、愛は大人かな? でも成人していない大学生が「愛してる」って云っている場合はどっちになるんだろう。未成年を大人と呼ぶのは違うと思うし。

 この漫画では、『愛は母の愛』と書いてある。……じゃあ男の人はどうなるの?

 いつものように、浮かんだ疑問の答えを、自分なりに探していた考えていた。

 そしたらいきなり、頭の中で声がした。声というか、ナレーション。


―自分以外のバージョンを、見てみましょう。ナレーションが響いた。


 頭の中にスクリーンが浮かんできた。スクリーンに、徐々に映像が出てきた。


                  〇


【恋と愛の違い・泉の場合】


 泉、十八歳。派手な顔立ちに納得の、合コン行きまくりスケジュール。何人もの歴代彼氏がいる恋多き女です。

 現在は恋愛真っ最中なので、合コンはお休み中らしいです。

 泉は、ダーリンに「愛してる」と云う習慣を作りました。そんな泉の彼氏は……。


「お前の云う愛は重い」泉のダーリンが、云った。

「お前のは、恋に恋しているだけだ」とも云った。

 泉はすかさず云った、「愛しているわ!」


「もし俺の体が動けなくなったとしても、側にいるか? 俺が将来無職でも、俺が好きか?」

 泉はすかさず云った、「もちろんだわ、私のは、愛よ。相手を大切に想い相手を愛すること」


 泉の目は、まっすぐダーリンを見つめていました。恋は盲目、ダーリン以外、目に映らないのでしょうかと思う程に。

 云い換えると、ドラマのような台詞を云っている自分に、酔っているようにも見えます。


 ダーリンと呼ばれる男は、何を云っても無駄だと思ったのでしょうか。質問を、基本的な事に戻しました。


「だから、愛って何?」

 泉はすぐに云った、「愛している人の子どもを産む事、母の愛よ」

 泉の目は、最高潮にキラキラしていました。云い換えると、物凄く自分に寄っているようにも見えます。


「つまり、子ども? 俺は通過点か?」男は冷静に云いました。

 泉は何を云われたのか理解出来ず、「何を云っているの? 全てが愛よ」と慈悲に満ちた目で云った。


 数週間後、ダーリンと呼ばれていた男には、新しい恋人がいた。

「……私たち、すれ違ってしまったのね」

 泉は泣きそうな目で、男の視界に入るように表情を作った。


                  〇

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