強制ダイエット
こんにゃく王子
第1話
世界では貧富の差が広がり、豊かな国は貧しい国が必要としている食べ物を捨てているのが現状だ。人は食事に対してのありがたさを忘れ去って、同族を死へと追いやっている。地球を作った神はこれを悲しく思い、太っている人間を無くすことにした。
「生物はみな平等でなければならん、肥満をなくす!」
神がそう言うと、天使は
「肥満児を殺すのですか?」
ときいた。
「そうではない、強制的に痩せさせるのだ」
「どのようにして痩せさせるのですか?」
「なに、脳に少しだけ細工をすれば良いのだ」
「どのような細工でしょうか?」
「それはみてのお楽しみだな、だがしかし脳に周波を与える方法ゆえ、肥満している人間以外にも効力が出てしまう」
「それはダメではないでしょうか?」
「なに大丈夫さ、これをすれば人間はありがたみを知り、生き方を改め、正しく生きていくだろう」
そう自信満々に神は言うと、早速強制ダイエットを人間に施した。
その日から人類は食べることを躊躇し、餓死者が急増していった。少々やりすぎたのか人類の大半は死滅してしまった。そして不思議なことに、生き残った人間は共感力のない野蛮な人間のみであった。
これを重く受け止めた天界では強制ダイエットを行わせた神をさらに上の神が罰することになった。
「罰する前に一つきいても良いか?」
「はい」
「貴様は人間になにをしたんだ?」
「……ただ、食べ物を食べる時、その食料が最後に感じた気持ちを人間が味わえるようにしたのです」
「何故そのようなことを? 」
「美味しいだけではあまりに不公平ではないですか?」
強制ダイエット こんにゃく王子 @nyakusan
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