きみの世界はきみから始まる 『手紙』

きみなら掴めるはずさ

空の色は移ろうけれど

冷たい青に挑戦している

白い指先を引っ込めないで


光を湛える瞳は笑う

挫折を知らないきみの胸には

選択肢はないのだろう

後悔の影もないだろう


真実はどこか

本当はなにか

そんなのはあとからついてくる

雁字搦めになるまえに

思いのままに

さあ進め


蒼穹の向こう

まだ知らない場所

初めての言葉

たどたどしい文字


綴った手紙を

届けに行こう

涙はそれからでいい

伝えることに意味があるから

心のままに

さあ進め


世界の始まりはきみのなか

きみの世界はきみから始まる


冷たい青にかざす手が

天に伸びていく木のようだ

必ずなにかを掴めるはずさ

無邪気さは無敵なのだから


きみがおとなになったころ

どれだけ貴重なものであったか

手のひらを見て思うだろう

宝だったと気がつくだろう


高い空を恐れずに

今日も見あげているきみよ


眩しさに目を細めつつ

焦がれ見つめているきみよ

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