苛烈な光を知らず 絶望の闇も知らぬから 『青い刻』

青い刻に沈む心が

少しだけ溶けてきた


このまま眠りたいような

目覚めたいような

まどろみにも似た静寂


朝と夜

夜と朝のはざまで

動けないまま染まる


塗りつぶされるには

長く生きすぎ

染め返すような覇気もなく


青の世界にとどまるわたしは

苛烈な光を知らず

絶望の闇も知らぬから

振り切れないのだろうと感じた

どちらにも生きていけない


薄闇のなかに佇む街の

書き割りのような姿を見ながら

打開策を探している


時を凝らせる魔法が

神秘の色で入り込んでも

肺はびくともせずに

ただ呼吸を繰り返している


半端に生きているなら

半端に生きている心を


このまま完全に沈めて

青の一部になりきり

霧散できたらと願う


青い街のどこか

青い刻に生まれ


青い歌を書き置き

青い刻に死する

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