あなたは光る無数の針を わたしに刺しては繋げてゆくよ 『竪琴弾きに』

あなたは光る無数の針を

わたしに刺しては繋げてゆくよ

細く眩しくなめらかな線

針をわたしの耳や心に


爪弾く手指からあふれ出す

音色は縦の糸となる

わたしは横の糸となり

まぶたの裏や空へと放とう


聴き手はみんな連なって

木漏れ日の差す彼方で憩う

それはティル・ナ・ノーグへの扉

いざなわれるまま魅せられて


細くも光眩しい月の

強くも優しい太陽の

かけら満ちたる至福の時よ

弦の響きよとけないでくれ


澄んだ波際の泡はささめき

稜線は色彩の描く歌声

針は血肉に同化して

わたしの闇にさえ届く


24 27の線が

たちまち空気を震わせる

幾千万もの風をとらえる

楽は無限のものと知る


聴き手もみんな奏でられ

木漏れ日の差す彼方に眠る

それはティル・ナ・ノーグへの扉

刻む時をも息をひそめる


細くも光眩しい月の

強くも優しい太陽のように輝く宝石たちよ

弦の響きよ消えないでくれ


あなたは光る無数の針で

わたしを貫いていった

まるで豊穣の雨を浴び

草木が天へと芽吹くようだよ




20171222

原題『To a harper』

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