うしろむきのアウラン ── before 2020

双星たかはる

きみの隠す嘘が まるで まるで 真実みたくきらめく 『糸車』

きみの隠す嘘が

まるで まるで

真実みたくきらめく


ぼくは聞いている

悟られぬよう

気づかれないよう


そんなに固く閉ざしていては

桜のようには咲かないだろう

それでも耳を傾けるんだ


待ってよ誰でも数えるほどには

言えないものを持ってるだろう


ステップを踏んでまわるほどには

気持ちがうわつく日もあって


それは生きているからさ

きみとぼくの証だからさ

ぼくの隠す傷が

つきん つきん

本物みたく痛んで


幻肢痛がこんな

感覚なのかと

思いをめぐらす


夜の端をつまんで早く

イチイの糸車にかけて

夢のかたちを確かめるから


そうだよぼくは咲かないままに

季節を見送る心づもりだ


きみをすんなり信じるほどには

ぼくも強くはなれなくて


まっさらではないからさ

きみと似たもの同士だったよ


まわれ まわれ

ぼくは きみは

真っ赤な頰で笑ってた


摘むのをやめた花も

とうに枯れて

途方に暮れたぼくは


化石になりたいな

ぼろり ぼろり

ときおり崩れる

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