第26話 幼い傭兵?達
元守衛隊長のゼンが、突然仲間に成って同行する事になりました。
ゲームでも、ミネルバ王国に入る手前、大岩に塞がれた所で、ゼンを捜し出して大岩を砕いてもらう、そんなイベントがあった。
「ゼンさん」「ゼンと呼んで下さいミア様」
「ゼンと呼ぶわ、私のこともミアと呼んで」
「・・・そう、ですね、マゴンの間者が何処に居るか、解ったミア」
「それで、さっき言ってた、自分では権限が無く、どうしようも無かった事って?」
「傭兵の街と違い、王都には、傭兵奴隷販売所が一軒しかありません」
「うん、そう聞いてる」
「その一軒が、酷いのであります!」
「酷い?」
「見てもらえば、解るであります!!」
傭兵奴隷販売所に向かいます。
御者席に、ゼンが乗り道案内をしてくれてます。
「ミア、1つ疑問に思って居る事、聞いて良いで有りますか?」
「ゼン?何でも聞いて、答えられる事なら答えるわ」
「2日前、満載してた食糧、もう食べ尽くされたのでありますか?」
「ゼンは、収納魔法を知って居ますか?」
「聞いた事ありません」
「食糧でも、物でも、人でも、何でも異空間に収納出来る魔法です」
「そんな便利な魔法が、あるでありますか!!ミアが、ミネルバ王族の秘技で有りますか?」
「LVが20以上になったら、使え出す人が居るの」
「自分はLV20で有りますが、そんな便利な魔法使えないであります」
「私もLV46だけど使えないよ」
「LV46!!物凄い高レベルでありますな!」
「収納魔法が使える、仲間が居るの」
話の途中ですが、傭兵奴隷販売所に到着しました。
外見はありふれた商館です、みすぼらしくも立派でも無い、普通の建物です。
ゼンと一緒に入ります。
「これは、これは、守衛隊長様、又々お出で下さいましたか、何度も申しましたが、お売り出来ますが、解放は出来ませんです!!」
でっぷりと弛んだ体の、店主らしき男が、一方的に話して居ます、慇懃無礼な話方です。
「ゼン、何の話なの?」
「ミア、此方に」「勝手に入られては困ります!!」
店主を無視して、ゼンが進みます。
地下に傭兵奴隷が居るようで、ゼンの案内で降りてゆきます。
ずらりドアが並んで居ます。
奥に向かい、一番奥のドアをゼンが開けました。
途端に、腐敗臭とスエた臭いが鼻を突きます。
「うゎ!これは酷い!!」
やせ衰えた子供が7人、隣の檻はもっと酷い、生きて居るのか死骸なのか、小さな子供と思われるのが3人、大人が3人打ち捨てられたように重なって居ます。
「ミア、この部屋が一番酷いが、他の部屋も似たようなものであります!!」
「これは、保護するの急を要すね!!」
追いかけて来た、店主が荒い息をゼイゼイ吐きながら
「お一人様5人迄ならお売りいたします」
傭兵5人迄の、縛りがあったっけ。
「こんな状態の傭兵を、売り付けるつもり?」
「嬢ちゃんが、何者か知りませんが、王都で正式な許可証を頂いておる、真っ当な商館です、国王様なら兎も角、苦情は受付ません、買う気が無いなら、とっととお帰り下さい」
「ゼン、取り合えず急を要すのは、この部屋だけ?」
「はい!他の部屋は今すぐ死にそうな者はおりません」
「店主500Gでこの部屋の子供、隣の死骸みたいなのも引き取る」
「いや、500Gは・・・」
「多すぎるか?この病人達には!!」
(クソ!!ガキみたいな小娘が、恐ろしい迫力で威圧しやがって!!!)
「店主、何か不満があるか?治療代に1000Gくれるってか?」
「嬢ちゃん、冗談が過ぎるぞ!!500で良いさっさと引き取れ!!」
「500G、これで文句は無しよ!!」「これが売り渡し証13人分だ」
正式な売り渡し証、これさえ有れば大丈夫。
「皆、チャラを残し全員来て!!!」
獣人は耳が良い、直ぐに皆、やって来た。
「ミア、これは?」
「エリス、回復魔法を覚えたって言ってたよね?」
「LV40で覚えたよ」
「こっちの死にそうな人達に、大急ぎ!!」
檻の錠まいを引き千切り、牢の扉を開けっ放し、エリスと飛び込む。
部屋全体を、暖かい光が覆う。
エリスの回復魔法のようです。
何度も重ね掛けしているようで、いっこうに光が消えません。
「ミア、全員間に合ったようよ!」
「御苦労さん!助かったわ!!」
「子供3人はスヤスヤ穏やかな寝息をたてて居ます」
大人が3人と思ってたけど、体格の良い獣人の子供でした。
「アルファにガンマそれに、ラムダ!!!」
オメガが叫んで居ます。
呼び掛けに目を開けた獣人の子供達は、直ぐにオメガに気付いたようです。
抱き付こうとしますが、力が入らないみたい。
一部始終を見ていた、店主。
「500Gでは、安過ぎる」
と、追加請求してきました、元気になれば高く売れるからね。
「店主!お前それで商人のつもりか?商売を舐めるな!!」
あはっ!怒りに任せて、生意気言ってしまった。
小娘に正論とは言え、生意気に説教された店主は、怒り狂い用心棒を呼び寄せました。
用心棒5人、LV15、LV13、後はLV10、吹けば飛ぶようなチンピラです。
「小娘、少し灸を据えてやる!!」
とか良いながら、本気で殺る気満々、全員剣を抜きました。
「詫びを入れて、10000G置いて行けば、許してやるぞ!!」
店主が寝言言ってる。
皆は、ドラゴン相手なら全員で戦闘するが、この程度の相手ミアが瞬殺と思って居るでしょう。
「そこのチンピラども、殺る気で剣を抜いて、殺られても文句言うな!!」
私のLV46の攻撃、全く見えて居ないよう、5人は腹を押さえて苦しんでる。
苦しいように、気絶しない程度に腹を殴ったからね。
騒ぎを聞き付け、王都衛兵隊が入って来た。
店主は揉み手をしながら、嫌らしい笑顔を衛兵に向け、言った。
「衛兵の皆さん、よく来て下さいました、暴れているこの娘達を取り押さえて下さい」
衛兵隊長は、無言で私達を見回して、エリスを見て驚いたように言いました。
「貴女は、スクルド神殿の神官長エリス様では?それに、守衛隊長ゼン」
「店主、何か勘違いをして居らんか?」
「いえ!衛兵隊長様、間違い無く、その者達に暴れられ困っております、その証拠に私どもの職員が殴られ、そこで呻いて居ます」
「剣を抜いて、転がっておる、この者達の事か?」
その時ゼンが進み出て「衛兵隊長ならこの印の意味が解るな?」
「ミア様、王家の懐剣を!!!」
王家の懐剣、何それ?・・・そう言えば忘れてた、そんな短刀を持ってた。
忘れてたのを隠すように、徐にふところから懐剣を取り出し、ゼンに渡す。
「ゼン、これを」
芝居みたいに、恭しく懐剣を受け取り、印が見えるように、押しい抱き、衛兵隊長に向けた。
王家の懐剣と言った事で、察した衛兵隊長は、ミネルバ王国の印を確認後、片膝を突き王族に対する礼を表しました。
「お初にお目にかかります、ミネルバ王女様!!」
「礼は受け取りました、衛兵隊長」
「スクルド国王様に、ご報告願います、そこの男が、国王の苦情なら受け付けるとの事」
思いもよらない、成り行きに、全く理解出来ない店主達、衛兵隊に捕らえられてもボンヤリ、訳が解らない様子で、引き立てられてゆきました。
衛兵隊長立ち会いの基、全ての子供達が解放され、行き掛かり上私が保護する事になりました。
総勢50人以上の子供達です。
ここって傭兵奴隷販売所じゃ無いの?
その後の取り調べにより、傭兵奴隷販売所は隠れ蓑で、実態は幼児幼女少年少女愛好者が、定期購入するための組織だったようです。
子供しか居なかった訳です。
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