第7話 201号室の住人

 午前中の講義が終り、買い物して帰って来ました。


 階段を上り私の部屋、202号室の鍵を開けようとしてる時、お隣201号室のドアが開き大学生風の男が出て来ました。

(チャラそうな男、関わらないようにしよう)

 軽く会釈して、ドアを開け急いで入ろうとしました。

「あっ!今川さん、初めまして!!僕、隣の小山 登、宜しく!!」


「今川です」

 再度会釈して、ドアを締めようしたとき。

「心愛さん!!講義でイビキかいて寝たり、寝惚けてボールペン握り潰した心愛さん!!僕、一応先輩で2回生の小山ですぅ!!!」

「ぎゃぁ~~!!大声で変な事言わないで!!」

 締めかけたドアをフルオープンして叫んじゃった。



 と言う訳で、近所のカフェで話してます。

 だって、通路で話をする訳に行かないし、部屋に行く事も、私の部屋に入れたくもない、チャラ男しつこそうで、結局こうなった訳です。

 しかぁし!!しっかりオゴリの言質は取りました。

 ミルクティーに苺のショートケーキ付きです、ムフッ。


「コンビニ強盗の報道、あれマジ?」

「ちょっと大袈裟が入ってる・・・」

「強盗のナイフを叩き落とし、その時手首をへし折ったのは?」

「・・・手首は・・・握り潰した、かな・・・」

「むち打ち起こす位殴ったって?」

「・・・ヘルメット被ってて、頭突きして来たから、手で庇ったら、男が気絶した、かな・・・」


「強盗、極端流空手2段だったって?」

「お巡りさんが、そう言ってた」

「で、心愛ちゃんは、剣道2級の最強お嬢さんって?」

「心愛ちゃん、だぁ?」

「ごめん、今川さん・・・で、2級?」

「うん、小学生の時、剣道してて、2級」

「テレビで女子アナが言ってた、剣道は他の武道より3倍強いって?」

「剣道の3倍段って言われてる、けど、棒切れか、傘程度の武器を持ったらの話だよ」


「殆んど報道通りじゃん!!!すっげぇなお前!!!」

「おまえぇだぁ!!」

「ごめん今川さん」


 馴れ馴れしいチャラ男くん、コンビニ強盗報道で、私が同じ大学生って知って、私の同級生とかに聞いて、お隣さんと分かったそう、それ以来私と話をするチャンスを伺って居たみたい。


(チャンス!獣耳ハーレムの事聞いちゃえ!)

「えっと、小山さん獣耳ハーレムのミューとかパイって知ってる?」

「おっ?知ってる知ってる!!肉弾戦の猫耳ミューに魔法少女犬耳のパイ、大好物!!」

「えっ?ミューに弓矢持たせたけど、格闘技専門なの?」


「獣耳ハーレムに弓矢無いだろ!!」

(ヤバ!!ミネルバロードと混ざってたの、忘れてた)

「パイはどんな魔法使うの?」

「パイは、最初はショボい火炎魔法しか使わない、役立たずなんだ」

「うん」

「LVもなかなか上がらないし、でもLV10位から火炎玉の威力が増して来て、LV20過ぎると各種魔法を器用に使う、でも、LVが上がらない」


「分かった、上手く使ってみる」


「ミュー15才とパイ14才は、同じ孤児院で育った、姉妹のように仲良しって設定」

「この二人より、お勧めは魔法剣士狼耳のニューちゃんや、魔導師兎耳のファイちゃん、それに怪力熊耳のオメガちゃん」

(まだ会えて無い、ミネルバロードの何処かに居るの?)

「ありがとー分かり易い説明だった」



 チャラ男くん、危険な感じは無かった、チャラいから、陰湿なストーカーにも成らないだろうし、たまに話する位は言いか。

 住んでる所が一緒なもんで、帰りも一緒。

 帰り道、ミネルバロードLV125でボス戦やったって、私はお父さんが中古80円で買って来た、LV98から攻撃が超弱体化が起こるバグ品で、LV95で苦労してクリアーした、とか、不覚にも結構盛り上がっちゃいました。



 次はいつ会うとかはスルー、お隣だから何時でも会えるよ、と言って別れました。



 パイの情報ゲットだよ「よし!行くぞ~」好きよ~貴方~♪♪

 口ずさみながら、寝たかどうか分からない内に、ミネルバロードに入ります。


 以前の、パイをミューと二人で抱えて、家に帰りベッドに寝かせた所から。

 上手いこと続きだね。

「ミュー記憶が戻ったの?この娘のことパイって言ってたよね?」

「孤児院で一緒だった、一番仲良しのパイちゃんだよ!!」


 パイに意識を向けます。

 獣人犬族パイLV3 HP30 MP10

 流石魔法少女、MPがあるわ。


「それでね!パイは魔法使えるんだよ!!」

 パイはミューと同じ、作務依風の短い上着にスカート、青い唐草模様の刺繍が入ってる。

 疲労がそうとう溜まっていたのでしょう、パイは起きそうにありません。

「ミューお茶を煎れて、待てて、サラさん所で夕食貰って来る」

「お風呂、水は入ってるから、沸かしてね!パイが目覚めたら、説明もお願い」

「うん、分かった」


 サラさんに、例の甘くないホットケーキに肉と野菜を挟んだ物、大きなサンドイッチを3つ作って貰い、持って帰りました。


 私が帰ると、パイが目覚めたようで、ミューと話をしている所でした。


「危ない所を助けて頂き、有り難う御座います」

「気にしないで、ミューが助けたんだよ」

「イドでした?強いから闘わない予定が、私の為に闘う事になって、えーとミアさん死にそうになりながら、懸命に闘ってくれたとか・・・」


「皆無事で良かったね!それより夕食、食べよ!」

 お腹が空いて居たようで、パイはガツガツって感じで、あっと言う間に食べ終わって、物足りない様子、私のを半分に切り、あげました。

 遠慮がちに、それでもペロリ平らげ、ミューも半分あげていました。

(パイは二人前食べる)覚えて置こう。


 焚き付けたお風呂もう少し追加で焚いて、3人一緒に入浴。

 お父さんの部屋のベッド大きいから、ミューとパイ一緒に寝て貰う。

 お金少し余裕が出来たから、二人の服も買ってあげるか·····



 しっかり熟睡出来て、目覚めてもミネルバロードでの目覚めです。

「今日の予定・・・パイの装備購入、パイのレベル上げ、目標LV10」



 ミューとパイも起きて来て、私とミューは装備を整え、サラさんの宿屋で朝食、パイには二人前。

 サラさん、料理を並べながら「あらあら、可愛いお仲間が増えたのね」


 ミューもパイも革の帽子、頭の防具被って貰ってる。

 パイに足りたか確認し、サラさんの店を出る。

「ミアちゃん気をつけて、行ってらっしゃい」

 笑顔のサラさんに見送られ、トムさんの武器屋に向かいます。


「ミアちゃんおはよう!おっ?また仲間を増やしたんだな!」

「トムさんおはよう!この娘はパイ、魔法使いの装備、お任せします」

「魔法使い?・・・良い杖を持ってるし・・・おう、革のマントかな?それに・・・護身用の短剣で良いか、な」


「ミアちゃんごめん!魔法使いの装備、ぶっちゃけ解らん!!」


「革のマントと短剣で良いよ!パイちゃん他に欲しい物ある?」

「え~と、MPポーションあれば欲しいかも」

「トムさんMPポーションある?」

「そんなの聞いた事がねぇ!!」


(ミネルバロードには無いよね、魔法は威力は兎も角、無制限に撃ててMP関係ない設定だもの)


 マントと短剣1000Gで良いそうで、いつもながら甘えさせて貰いました。


 安全の為、ワーム狩り西門を出ます。

 1時間のはずが、20分で到着LVが上がった私達は兎も角、パイ息切れも無く普通に付いて来たよ。

 3匹ウネウネとワームがやって来ます。

「パイ!魔法攻撃!!」

 パイは杖を構え、ワームに火炎を放ち、一瞬で3匹燃やしてしまいました。


「へっ?パイ凄い!!」

「はい・・・何か、いつもより威力が、増し増し?」

 パイのステータス見たけど、MP減って無い?

「パイ!この調子で、ガンガン火炎やって!!!」


 今日は、いつもより多目に、ワームがウヨウヨ出て来ます。

 パイは、壮快に火炎で薙ぎ払い、200匹以上焼き尽くし3だったLVが10になって居ました。

 それでもMP全然減って無い。

 獣人犬族パイLV10 HP100 MP50

 減らないから良いけど、MP増えないね。


 効率考えたら、グラスドッグ狩りだよね。

 北に向かいます。

 15分で到着、草刈りから始めます。

 でもトゲトゲ狂犬は待ってくれません、唸りをあげて一番弱そうな私に突進して来ます。

 騎士剣を抜き放ち、一刀両断「また詰まらない物を斬ってしまった」


 ここまでは、気持ちいいLV上げでした、ここまでは。

 今日は、どこも多目に出現する魔獣、グラスドッグも5頭の群れ、パイがLV10の火炎玉を放ちました。

 5頭のグラスドッグは一瞬で消滅、草に火炎が燃え移り、一気に辺りは火の海!!


「わっわ!火消さないと!!!」「水の魔法使えないよぅー」


 燃える草を刈ってみたり、踏んずけてみたり、皆で頑張ったんだよ。

 でも広範囲に燃え広がる炎の勢い、消火なんて出来る状態じゃ無い、あれよあれよと言う間に、広大なグラスドッグの草原が消滅しちゃいました。

「燃えちゃったね・・・」「どうしよう・・・」「ご、ご免なさいです・・・」


 私達は燃え広がる中心に居たので、少し熱い思いをしただけで、火傷も無く無事でしたが、相当な量のグラスドッグが焼け死んだようで、パイのLV18に上がって居ました。

 獣人犬族パイLV18 HP180 MP210

 あれ?MP5ずつしか増えなかったのに、LV10からは20ずつ増えてる?



 パイの魔法こんな威力聞いて無いよ!!

「もう今日はこれまで!!!帰って寝る!!」

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