第2話 あれ?私、変!!

 お母さんがよく言ってた「努力しても、出来ない事って多いけど、出来なくても努力した事は、無駄にはならないよ」って。


 私、小学校5年から中学校3年の5年間、努力して耳を動かす事が出来だしたの。

 凄いでしょ!!

 高校の時、自己紹介で「特技耳が動きます!」って動かすと、凄い!って皆に大受でした。

 HRが終わったら、わって皆が集まってきて、「耳の動かし方教えて」って超人気者!!

 懇切丁寧に教えましたよ。


 まず、眉毛を上下に動かす事半年、これで頭皮が釣られて動き出します。

 更に1年程で、耳も釣られて動き出します、此を更に3年続けると、耳の筋肉が鍛えられ

 耳だけを動かす事が出来るようになります。

(個人差は有りますが、この方法で誰でも耳が動かせます。作者リアル体験より)


 皆は「へえーーー」ってあきれ顔でした··········

 そのせいか、ニックネーム付けられちゃいました。

 不思議ちゃんって。

 不思議って上に上がる呼び方じゃなく、節木と下に下がるイントネーションで不思議ちゃん。

 だから知らない人は私の事今川じゃなく、節木だと思ってたようでした。


 一人暮らし始めて、最近頑張って練習してる事

 目玉焼きを一気に作る、左右両手での卵の片手割!!

 左手は3回に1回黄身が潰れ失敗するけど、普通に食べられるし、上達してるわ!

 ボロっと、落ちた殻は拾えば問題無し!

 たまに、ジャリってなっても、カルシュウム補充よ?



 独り言呟いて、現実逃避してる私、だって又々「ミネルバロード」それも前の続きの夢見てるの!!


 あの土壁にランプの部屋で目覚めた所からです。

 取り合えず着替え!パジャマ代わりのボロい、寸胴ワンピース(布は麻みたい)を脱ぎます。

 下着は·····パンツは履いてる(紐で縛るタイプ)ブラは·····探したけど無い!

 良いもん、どうせ胸なんて無いから··········


 少し綺麗な寸胴ワンピースを着ます、ブーツを履いて。

 防具を装着、剣をベルトに差し、アダンの実カートリッジを装着!勿論99個入!!

 LVアップで力付いてる。

 サラさんの宿屋に朝食を食べに行きます。


 今日もサラさんが、優しく微笑みながら食事を並べてくれました。

 ちゃんと朝食代5G支払ってるよ!本当は15Gするそうだけど·····

 最初は、お金はいらないって言われたんだよ、でも私が遠慮しそうって、それなら材料代で良いって、サラさんが言うもんで、優しさに感謝しながら好意に甘えています。


 野菜と肉の炒め物を、小麦粉多目の卵焼きみたいなので、のり巻きみたいに巻いたものを、一口サイズに輪切りにして盛り付けた、ポンと言う食べ物にホットミルクが朝の定番メニューだそうです。

 食べて見ると、これが凄く美味しいの!!

 美味しい、不味いってしか表現出来ない私が、歯痒い!!

 夢なのに、味がしっかりわかるって不思議?


 今日はグラスドッグ狩り!だよね?それとも休日?

 暫くして、トムさんが迎えに来たので、グラスドッグ狩りで間違い無いみたい。


 ワーム狩りは西に向かったけど、今日は北に向かって進んでいます。

 同じく、1時間位歩いた所で、トムさんは休む事無く剣で草苅始めました。

 私の背丈位に繁った草です、確かに草苅しないと、グラスドッグが襲い掛かって来てもわかりません。

 私も剣を抜き、草苅のお手伝い始めました。


「グラスドッグが来た!!」トムさんが叫びます。

 無防備な状態の私は、グラスドッグの体当りを受け、転びました。


 グラスドッグのサイズは土佐犬位、白目を剥いて唸り声、大きな牙からヨダレが垂れてる!首筋は鋭いトゲ状の突起物に覆われてる、トゲトゲ狂犬!!

 こんなのに勝てる訳無い!恐怖で体がすくみます。


 そうだ!「ミネルバロード」は戦闘中でも「にげる」で必ず戦闘回避出来てた·····逃げよう!!


 当たり前ですが、逃げる事は出来ず、一方的に攻撃を受けてしまいました。

 グラスドッグより素早く動けない私が、逃げれる訳無い!

 もうボロボロです!


 でも変!これだけ攻撃されたのに、あんまり痛く無いの·····やっぱ夢の中だね、リアル体験っぽくても矛盾や不条理満載··········

 しょせん夢って思うと、恐怖心が和らぎました。

 トムさんが、グラスドッグを一刀両断して助けてくれた時には、30あったHPは7しか残って居ませんでした。

 残った宝箱には丸薬が3個入っていました。


 ヒットポイント回復するなら~~♪♪


 出てきた丸薬を即呑み込みました。

「ウゲェーー」

 苦臭い!!!!

 HP全回復したけど、二度と口にしたく無いよ!!

 丸薬ってこんな酷い味だったのぉ!

 この夢って味にはこだわるね!!


 見るに観かねたのでしょう、トムさんが戦う為の対策を立ててくれました。

 アダンの実を、3個握って待機していて、グラスドッグを認識したら即投げる!

「何れか当たるだろ」

 アダンの実当たらなくても慌てず、剣を早く抜く事を心掛ける、それから剣先は常にグラスドッグに向ける事!!

「上手く行けば、グラスドッグが勝手に剣に刺さってくれる」

 慌てず恐れず、これが実行出来たら✨グラスドッグは軽く狩れる!!


(そんな簡単に出来るかな?でも言われた通りにやるしか無い!

 トムさんが同行してくれてるのは、完全に善意から·····甘え過ぎも大概にしろ私、

 どうせ夢の中、当たって砕けろだわ!!)

「砕けちゃダメだけど··········」

「ん?ミアちゃん何か良いこと思いついた?」

「んぅんー独り言·····」


 剣道の先生が言ってた、試合では逃げようとしたり、引いたらすぐ負ける!

 気合いを込めて、前に前に攻める心が勝利に繋がるって。

(剣道結構好きでやってたのに、なんで辞めちゃったんだろ)


「まっ良いか!よっし!攻める心だ!!!」

 と、意気込んで見たけど、気持ちだけでグラスドッグに勝てる訳無くて·····

 相討ち寸前で、運良くアダンの実がグラスドッグに命中!

 何とか自力でグラスドッグを一匹狩ることができました。

 HP残り3です、大急ぎ泣きながら丸薬呑みました!


 苦勝でも勝利した事で、単純な私は自信がつきました、ハイな気分でグラスドッグ狩りを進め、LVアップもあった事から、気付くと30匹も倒し、残された宝箱からは、全部で60G、丸薬15個、アダンの実25個をゲット!!


 LV10 HP100になって居ました。


 思い返すと、終りの方レイピア片手に、グラスドッグを両断する、無双状態!!!

「もう単独で狩りをしても大丈夫!」

 トムさんから、お墨付きを頂きました。

 よっし、次はイドの住むダンジョンでLVアップと、アイテムゲットだよ!!


 町に着く頃には、日はすでに暮れかかり、西の空を赤く染めています。

 綺麗な大気のためでしょう、見事で涙が出そうな夕焼けでした。


 例により、サラさんの宿屋で夕食!

 暖かい笑顔でサラさんが待って居てくれました。

 確かな手応えの、満足感で気持ち良く就寝!


 の、はずなのに、瞬間目が覚め、鈍痛と全身の倦怠感に襲われます。

「だるぅーー寝た気が全然せん!!」でも·····

 今日は落とせない単位の講義に出ないと··········んーーーだるぅー

 医者に診てもらった方が良いかな?睡眠障害?


 朝食は、トーストにコンポタ缶で良いか。

 缶を握って、フリフリ! バシャッ!!

 プルタブ開けて無い、中身が詰まった缶を握り潰してる!!!!!!

(何?何がおこったの?私の身体に何が??)


 夢の中で私、確かにLV10にレベルアップして確実に強くなってた。

 夢の中でだよ·····何で現実で強くなってるの?

 夢でも努力したことが、現実に反映される··········努力は無駄にならない?

 んなバカな!考えても無駄!解る訳無いもん私に·····

 まっ良いか。弱くなるより、強くなる方が良い!!


 考えてるようで、何も考えてない心愛ちゃんらしい結論でした。


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