寄り添う

「あなたは綺麗ね」

隣にいる生き物に体をくっつける。目の前で、柔らかい羽毛に服が覆われていくのを見て、目を閉じた。呼吸と鼓動によって皮膚が動いているのを感じる。柔らかく温かい生き物に寄り添って自分も生きていると初めて自覚できた。

あの大きな琥珀色の瞳は今、何処を見ているのだろうか


賛美の言葉を呟いて、もたれかかってきた人はそのまま寝てしまったようだ。

今、君には自分がどのように映っているのだろうか。本当は、綺麗な羽毛も琥珀色の瞳も持たない自分を知られてしまったら、君は離れてしまうのだろうか。

聞く覚悟も手段も知らない自分はそっと肩の位置を直すことしか出来なかった。

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