LONG LIFE UNDER THE BLUE SKY
日比野 世界
序章 人生
第1話 序章
、、、人生には、大きな分岐点がある。受験、就職、結婚、出産、転勤、定年、そして臨終。。。「その時に、あるものを手に入れ、あるものを諦めるのだ」という人がいる。「年齢を重ねるとともに、その先の人生の選択肢が減っていく」という人もいる。。。
「Jake!RITSから電話。」
竹内俊樹は、一瞬、自分を呼んだ五島和広のほうに向き直り返事をすると、受話器を取りながら若松奈緒に指示を出す。
「あぁ。Nao、資料の手直し頼むね!OK?
はい、竹内です。、、、お世話になっております。、、、」
後ろでは、井上浩一が資料に埋もれながら、大声で叫んでいる。
「Jimmy!この件、フォロー頼めるか?手一杯?じゃあ、困った時のスーパーマン!Roger、助けてくれ。これ、3時までに仕上げないとならん。」
人生の分岐点。、、、しかし、俊樹には、50年の人生で何かを諦めてきた感覚がない。「人は、本当に大切なものを手に入れる人生の節目を通過する。そこを過ぎた時、次の節目を何にするか、どこにするかを決めて邁進する。そしてより良い人生を設計し続け、手に入れ続ける。」と信じている。彼は、それを実現してきたと自負している。たったひとつ、「結婚」という節目で彼女を手に入れてしまったという失敗を除いて。だが、この先の人生で、この失敗を棄て去り、より素晴らしい人生にしていくために必要なものを手に入れられると確信している。。。
欧米人に言わせると、家庭と仕事とコミュニティの3つをバランス良く過ごしてこそ「人間」なのだそうだ。
また、”Wish(やりたいこと)”と”Needs(求められること)”と”Skill(実力)”という3つの円がどれだけ重なるかで充実度が変わり、それぞれの大きさで人間の大きさが変わる、という。3つのバランスや3つの円がどうなるかは一人ひとり異なるが、1日が24時間であり、いつ死ぬか分からないということは、誰にも平等である。だからこそ、どう生きるか、生きたいか、という自分の意思が重要なのだ。そして次の人生の節目に向けて「今を生きる」ということが全ての起源であると俊樹は信じている。
「承知しました。それでは、14日の15時にお邪魔します。ありがとうございます。」
竹内俊樹が受話器を戻すと、上司の山田樹がサインをした稟議書を持って立っている。
「Jake、これ、社内全部OK取ってきたから、これで進めていいぞ!」
今、俊樹の頭の中では、ガッツポーズとともにバンヘイレンのJump!が流れている。
「Enjoy!」
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