結婚自由化
今まで、結婚には不合理な制約が多すぎました。
本来ならば、当事者間に合意があれば、どんな結婚だって当然認められるべきです。
同性婚然り、選択的夫婦別姓然り。当事者の間で合意しあって、そうしたいと言っているのに、そういった選択肢を与えることの何が一体いけないというのでしょう。
そういったことに、ようやく人々が気づき始め、与党もようやく重い腰を上げて取り組んだ結果、結婚が大幅に自由化され、様々な新たな形の「夫婦」、いや、もはやそのような言葉は現状にそぐわないでしょう。「当事者」たちが誕生しています。
街に出て、幸せそうな当事者たちの声を聞いてみましょう。
賢そうな「当事者」がいます。話を聞いてみましょう。
「私達はどちらも、研究者として働いています。論文などでは、名字しか出ないことも多く、これまでに発表した論文のことを考えると、名字が変わってしまうのは受け入れがたく、選択的夫婦別姓はどうしても必要でした。ようやく選択的夫婦別姓が認められて大変うれしく思います」
ニヤニヤとフィギュアを眺めている人も「当事者」のようです。話を聞いてみましょう。
「フィギュアとの結婚も認められました。この娘は俺の嫁。ずっといっしょです。夢のようです」
一方で、「当事者」になれなかった悲しそうな人もいます。
「ペットとの結婚をしようとしたのですが、双方の同意が取れているのか確認ができないという理由で受理されませんでした。けれど、ペットには人権はなく、ものと同じなので、フィギュアとの結婚が認められてペットとの人権が認められないのは法の下の平等に反しています。結婚を認めるよう、裁判をするつもりです」
骨壷と位牌を抱えた「当事者」はこう語ります。
「彼女が交通事故で亡くなってしまって。結婚を考えていただけにショックでしたが、彼女のご両親に、彼女と結婚させてもらえないか相談しました。本人の同意は得られていないですが、生前に付き合っていたことを客観的に証明できて、また、ご遺族の同意があれば受理される、ということでした」
オタクっぽい青年と、50歳前後のおばさん。この「当事者」たちの関係は?
「ママと結婚しました。産んでもらって、育ててもらって、ずっといっしょで感謝していますし、僕はママが好きで、ママは僕が好き。パパはもう随分前に出ていっていなくなって、ママはずっと一人で寂しそうでした。もっと早くに結婚できればよかったんですが、ようやく法律が変わりました」
また、ひとりで結婚をした「当事者」もいます。
「相手はいません。誰とも結婚したいと思ったことがなかったので。けれど結婚自体はずっとしたかったので、願いがかなって満足です。今は、相手がいなくても結婚式が挙げられる式場を探しています」
重婚も認められるようになりました。ある「当事者」はこう語ります。
「私の国では重婚はずっと合法でした。日本は重婚ができないので不便でしたが、ようやくできるようになりました」
3人で結婚した人もいます。「当事者」たちはこう語ります。
「僕たちは、いわゆる三角関係だったんですね。僕と彼は親友で、2人とも彼女を好きになった。彼女は二股をかけていたわけですが、それが発覚して、どうするってなって、3人で結婚すればいいやってなった。三角関係って、それが法的に認められてなかったから、友情を壊してまで解決しないといけなかったんですが、法的に認められていたら、友情を壊さなくても、こうやって仲良く3人で暮らしていけます」
みなさん、本当に幸せそうです。
結婚には様々な形があって当然で、結婚は当事者の合意のみによって、どのような形にでもできるべきです。
中には「このような結婚は認められない」「結婚とはこうあるべきだ」と言う人もいるかもしれません。確かに、上に挙げたような結婚には、今まで常識だった結婚とは大きく異なるものもあるでしょう。
けれど、それはあくまで当事者間の問題であり、当事者たちの選択で、あなた自身がそのような結婚をしないといけない、というわけではありません。当事者たちが当事者たち自身で望ましい選択をすることに、我々は寛大になるべきです。
あるいは、寛大になれない方たちは、もしかしたら満たされていない思いがあるのかもしれません。寂しいのかもしれません。
私も本当は寂しいし、人肌が恋しいです。もし寂しいと思われたなら、私と「当事者」になりませんか?
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