順番待ち

とある飲食店に、3人の客が並んでいる。

先頭に並んでいる男性はお一人さま、次に並んでる男女はカップルのようだ。


店員がやってきて、先頭の男性に尋ねる。

「すみません、順番が前後してしまうのですが、先におあとの2名様をご案内してもよろしいでしょうか」

「先に私が並んでて、人数もこっちは一人なのに、納得いかないですね」

「ちょうど2名様分のお席が空きまして、すぐにお客様の席もご用意できますので」

「どうしてそんなこと分かるのですか? 他のお客さんがいつ店を出るかなんて分からないでしょう?」

「今ちょうど片付けているところでして……」

「そうでしたら、あなたも片付けを手伝った方が、私と後ろの2人を案内できるのではないですか?」


店員は何も言わずに店の中に戻っていった。


それから10分ほど過ぎて、一人の客が店を出た。

そして1分ほどで、店員が再び外にやってきた。

「1名様、おあと、2名様、お待たせいたしました」


一人で来ていた男性はわざとらしい笑顔でこう言った。

「片付けに随分と時間をかけられたんですね」

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