100話〜真意のその先
ここはシェイナルズの森の中の空き家。フェリアは真実を話し始めた。
「……そうですね。何処から話せば良いか。」
「フェリア。話そうとしてる所、悪いんだが。もう一つ聞きてぇ事があるんだがな。」
「ガルド。貴方が聞きたい事とは、もしやグランワルズの事ではありませんか?」
「ああ、その通りだ。ここ最近なんだが、丁度フェリアとブラットが契約をした辺りからなんだが、いくら問いかけても応答がねぇ。まさかとは思うが何か知ってるんじゃねぇのか?」
「ええ、知っています。グランワルズは現在、ある者達から身を守る為に姿を隠しています。」
「そのある者とは、もしやゲリュウデス様とネリウス様なのでは?」
「レオルド。ええ、そうです。グランワルズはゲリュウデスとネリウスの企みを知ってしまいました。それ故に身を守る為に姿を隠し、この事を私に託したのです。」
「フェリア様に託した。しかし、グランワルズ様が姿を隠した事とブラットと契約を結んでまでしようとしてる事が余りにも結びつかないのですが。」
「サアヤ、そうですね。これは最初から話すべきなのでしょう。本当は話さないで済ます事が出来たら良かったのですが。」
「それはどういう事なんだ?」
「ガルド。この話をする前に聞きたい事があります。」
「ん?聞きてぇ事ってなんだ?」
フェリアはブラットを見た後ガルドを見て、
「ブラットがまだ産まれて間もない頃、原因不明の高熱に襲われましたよね?」
「ああ、確かにそんな事があったな。あの時は確か、俺が薬草を調合して飲ませてもなかなか熱が下がらねぇでかなり苦労したがな。」
「それって、夢の中で見たあの事なのかな?親父と母さんが、俺の事を心配そうに見ながら看病してくれてた……。」
「ブラット。なるほどのぉ。ふむ、恐らくそれは、ワシが消した筈の記憶とその記憶は、思い出したのではなく、何者かが意図的に思念を送ったやもしれぬな。」
「ドルマノフ。貴方の言う通りだと思います。恐らく、それを行なったのはグランワルズかもしれません。」
「ちょっと待て!何でここで、グランワルズが出て来る?」
「ふむ、確かにな。だが、グランワルズ様は危険を犯してまでもブラットに何かを伝えたかったやもしれぬな。」
「だとしても……どういう事なんだ?私には理解出来ないのだけど。」
「そうですね……話を戻しますが。ブラットが幼い頃に高熱を出した理由なのですが、これは後でグランワルズが調べ分かった事なのですが、他の神が関与していた可能性が出てきたのです。それを探っている矢先、別件でゲリュウデスとネリウスの企みを知り、今は身を隠し策を練っておられる筈です。」
「それは分かりましたが。何故、ブラットが死を迎える前に救う事が出来なかったのですか?」
「レオルド。気づいた時には、既に間に合わなかったのです。私はグランワルズの代わりに、急ぎ神王様の元に行き、その事を伝えました。そして、私が感じとっていた世界の運命のズレ、その事も話しました。その時に、神王様の前で見たブラットの運命と世界の運命は大幅にズレてしまい破滅に向かっていたのです。それを見た神王様は、その運命を正しい方に導く為に、この事を知っている神、そしてその神が直接正しい方に導いて行かねばならないと言われました。ブラットと契約を結んだあの時は、もう一握りの希望しかなかったのです。」
「なるほどのぉ。神王様が……ふむ、それでブラットが消滅する前に契約を結んだという事か。だが、フェリア様。契約するにもどうするつもりじゃったのだ?契約自体は本人の意思が尊重される筈だが。」
「はい、その通りです。私と神王様はブラットに賭けました。一握りの希望に繋がるようにと。そしてまだその希望が残っているのであれば、ブラットが私と契約を結ぶ筈だと。そして、私は人間になる決心をしました……。」
「なるほど。それでブルーノア様は、その事について何も知らなかったという事なのですね。」
「はい。ブルーノアは確かに私に話しかけて来ていました。しかし、どう答えていいか分からず申し訳ないと思っています。」
「それでだが。ブラットのあの高熱の原因が、他の神の仕業かもしれねぇって言っていたが、そいつが誰か分かったのか?」
「いいえ、その事については、まだ調べているのですが。」
「そうなると。その件も踏まえ、ゲリュウデス様とネリウス様の企みを解決しなければなりませんね。」
「ああ、そうだな。ブラット、大丈夫なのか?」
「え、えっと……多分、大丈夫だとは思うんだけどな。ははは……。」
そう言うとガルドは深い溜息をつき、
「はぁ……ブラット、俺はもう何も言わねぇ。だが……んーまぁいい。お前にはもう、他の連中がいて1人じゃねぇんだからな……。」
ガルドはそう言うと少し寂しそうな顔になった。
「それはいいんだが。これからどうするつもりなんだ?」
「ハング。確かにお前が言う通りだ!レオルドにフェリア。これからどうするつもりなんだ?」
「そうですね。本当はブラットの力を解明した後に向かいたかったのですが。まだ名もなき土地に密かに城を築いていたので、ひとまずはそこに向かいたいと思います。その後の事は、そこで考えるというのはどうでしょう。」
「レオルド。それはブルーノアの指示で、ブラットの為に造っていたというのですか?」
レオルドは首を横に振り、
「確かに指示の元、城を築きましたが。私はブルーノア様とちゃんと話し合い築いたのです。」
「ま、まさか!レオルド、神と話せるようになったというのか?」
「そうなのですね。確かにレオルド。運命の流れが正常であったのなら、貴方はもっと早くブルーノアと会話が出来ていた筈ですね……。」
レオルドは頷き、
「ええ、そうみたいですね。」
「そうなると。フェリアとブラットはレオルドと、その城に行くとしてだが。他の連中はどうするんだ?」
「スカイネーブルの異変をなんとかしたい。私は、ブラットとその城に向かいたいと思う。」
「俺は、あの人に一旦この事を伝えなきゃならない。」
「そういやハング。誰に言われ動いていた?」
「それは、今は言えない。時期が来たら話す。」
ハングはそう言うと軽く首を下げ、マリアンヌの元に向かった。
「まぁ、恐らくはあの女の指示だろうがな。」
そして、その後ブラット達は、コトネ達が来るのを待ちながら、今後の事について話をする事にしたのだった…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます