83話〜レオルド思い悩む
ネリウスとゲリュウデスはブラットの状態が落ち着くまで待っていた。
ブラットはしばらくもがき苦しんでいたが、
「……うわあぁぁぁぁーーーー!?」
と叫んだ後、何も無かったようにスウッと眠りについた。
“ふむ。やっと落ち着いたようだな。さて、ネリウス。ブラットの記憶を消さねばなるまいな。”
「そうですね。ここでの事を覚えていられては困りますからね。」
ネリウスはブラットの頭に手を当て術式を描き魔力を注いだ。
「……あああぁぁぁぁーーーー!?」
ブラットはそう叫んだ後、何も無かったようにまた眠りについた。
“さて、ネリウス。これで、ブラットが何処にいようと力を奪い操る事が出来る。”
「ゲリュウデス様。それでは、そろそろブラットをディクス村に……。」
“そうだな。そろそろガルドも家に戻ってくる頃だろうな。”
ゲリュウデスがそう言うとネリウスはブラットを抱きかかえ、ブラットの家に向かった。
……その頃ガルドは城の用で遠方に行っていた。
そしてネリウスはブラットの家に着くと、ベットに寝かせ直ぐその場を後にし、またスカイネーブルに戻っていった。
レオルドはその頃、自室で頭を抱え色々と悩んでいた。
ブルーノアが言っていた事と、何故自分にその事を頼んだのか。そして、ネリウスは何故ブラットの力をそんなに欲しがっているのかと色々と考えていた。
(さて、どうする?恐らくは、あのゲリュウデスという神は、私を監視しているだろう。ネリウス様を欺く事が出来たとしても……いや、それも恐らくは難しいでしょうね。)
そう考えていると部屋をノックする音が聞こえ、レオルドは扉を開けた。
すると、そこにはネリウスが立っていて、レオルドの部屋に入って来た。
「レオルド、今日は珍しく自室にこもっているようだな。」
「これはネリウス様、申し訳ございません。何故か今日に限って体調が優れず寝ておりました。」
「なるほど、そうか。まぁ、体調が悪いのであれば無理をする事はないが。もし、可能であれば頼みたい事があるのだが。」
「……それはどういった事なのでしょうか?」
「それはな。お前が昨晩会った男を始末して来て欲しいのだが。」
「そ、それは……わ、私が何故、あの男を殺さなければならないのですか?」
「レオルド。お前は、馬鹿ではない筈だ!私が言わずとも、その訳は分かっているのではないのか?」
「ネリウス様!私は……。」
「どうしたレオルド?さて、ではこれからやる事があるのでな。そうそう、もし私を裏切るようであればどうなるか分かっているな。」
そう言うとネリウスは部屋を出て行った。
レオルドは下唇を噛みしめ、
(クッ!私はどうすれば良いのだ?昨晩の男を殺すなど出来る筈もない!しかし、やらねば。あ〜、何でこうなった……。)
そう思いながら床に座り頭を抱え、しばらくその場で俯向き悩んでいたのだった…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます