73部〜ドルマノフが知るブラットの過去‥③

 ドルマノフはあれから直ぐに家に戻り、必要な物だけを持ち神秘の都スカイネーブルに急ぎ向かった。


 そしてスカイネーブルに着くなり、王立図書館へと向かった。


 ここの図書館には他の図書館とは比べ物にならない程の多種多様な書物が揃っている。


 そしてドルマノフは古い書物が揃っている部屋で、ブラットが使ったあの力と一致もしくは似たものがないかと探していた。


 すると大賢者ネリウス=ブレラがドルマノフがここに来ていると知り挨拶に来た。


「これはドルマノフ様、お久しぶりでございます。」


「おお、ネリウスか。久しぶりじゃのぉ。」


「それでドルマノフ様は、本日はこちらにどのような御用件でお見えになられたのでしょうか?」


「ふむ。少しばかり気になる事が出来、調べに来たのじゃが。」


「気になる事とは?もし、差し支えなければお教え願いませんか?お一人で図書館が所有する本全てを拝見なさるのは、大変かと思われますので。」


 ドルマノフは少し考えた後、


「そうじゃのぉ。だが、この事は他言無用でお願いしたいのじゃが。」


「はい、承知致しました。」


 ドルマノフはブラットの名前を言わずに、力の事だけを教えた。


「それは事実なのですか?確かに、不思議な力のように思えますね。それで、その者の名前は何と言われるのです?」


「すまぬが。今はまだ、名前を教えるわけにはいかんのじゃ。」


 ネリウスは軽く舌打ちをした。


「そうですね。承知しました。では、私はあちらの方で、書物を調べてこようと思いますので。」


 ネリウスはそう言うと別の部屋に入っていった。


 ドルマノフはそれを確認するとまた本を開き調べ始めた。


(少しうかつだったかのぉ。ネリウスにブラットの力の事を言ってしまったが、恐らくはあれも、神の声を聞いている筈じゃが……神は新たな王が産まれたと言われた。だが、それが誰とは言わなかったが、ちょうどブラットが産まれて間もなくぐらいじゃった筈じゃ。それ故に気になる。もし、そうだとすれば、悪用される前に手を打たねばならぬ。だが、そうあって欲しくはないのじゃがな。)


 そう思いながらひたすら本を開き調べていた。


 そして別の部屋ではネリウスがその力について夢中で調べていたのだった…。

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