74話〜ドルマノフが知るブラットの過去‥④


 ドルマノフはブラットの力について調べていた。


 しかし、似た様な力は存在するものの、一致するものがなかった。


 ドルマノフはとりあえず似た様な力の事が書かれた本を、何冊か持ってディクス村の近くの森にある、仮の自宅に戻った。



 ……だがしかし、この時ドルマノフに気づかれない様に姿と気配を消し後をつけて来ていた者がいた。



 場所は移り、ここはディクス村の外。


 ブラットが力を使ったあの一件から2日が過ぎていた。


 ドルマノフはスカイネーブルから戻りいつもの様に空からブラットの様子を伺っていた。


 ブラットは相変わらず、グレンとヴィオレ達と村の外で遊んだり剣などの稽古をしていた。


(ふむ。ブラットはいつもと変わらん様に見えるが。しかし、あの一件から何か変わった様にも思えるのじゃが……。)


 ドルマノフがそう思っていると、ブラット達はいつも通りに家に帰っていった。


(とりあえずは、今のところ大丈夫そうじゃな。もう少し様子を見るとしようかのぉ。)


 ドルマノフはブラットの家の方を向き様子を伺った。



 一方ブラットは家に戻ったのだが、ガルドに見つかってしまい怒られていた。


「ブラット!何回言えば分かるんだ?毎日のようにそんなに傷だらけで帰って来やがって。もし、何かあってからじゃ遅いんだからな!?」


 ガルドに言われ、ブラットは泣き出した。


「でも。ヒクッ……だって、強くなりたいんだもん。ヒクッ……。」


「ブラット、あのなぁ……何で泣く?そんなに強くなりてぇなら、先ずは精神から鍛えろ!お前が弱いのは気持ちが弱すぎるせいだ。」


 ブラットは涙を手で拭ってから、


「……本当に。ヒクッ……精神鍛えれば強くなれるの?」


 ブラットがそう言うとブラットの頭に右手を乗せ、


「ああ、なれる。だが、後はお前の気持ち次第だがな。」


「うん。強くなりたいから、もう泣かない!我慢する。」


 ブラットがそう言うとガルドは笑みを浮かべ、


「そうだな。じゃ、そろそろ夕食の準備でもするか。」


 ガルドはキッチンに向かった。


 そしてブラットは部屋に行き、着替えてからキッチンに向かい、ガルドの夕食の手伝いをした。


 ドルマノフはそれを見て家に戻ろうとしたが、一瞬何かの気配に気がつき辺りを探った。


 しかし、その気配は既に消えていて、見つける事が出来なかった。


「ふむ……まさかとは思うが、少し用心した方が良さそうじゃな。」


 ドルマノフは仮の自宅に帰っていった。


 そしてドルマノフを監視していた者は、行ったのを確認すると、


「なるほどあの子供が……さて、ドルマノフ様が言われていた力が実際どんなものか、明日ドルマノフ様よりも早くこの場に来て、その力を確認するとしよう。」


 そしてその者は……いや、変装したネリウスは指を鳴らし一瞬でその場から消え去ったのだった…。

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