43話〜魔族王と魔族の大臣

 ここは魔族領土エクスダール国にあるキリア城。


 クレイデイルは大臣のデルカと寝室で話をしていた。


「陛下!ブラット様の事で、お耳に入れておきたい事があり、急ぎ参りました」


「何が、あったのだ?」


「それは、何と言ったら良いのか」


「デルカどうした!ブラットに、何かあったのか?」


「何かあったと言えば、あったのでしょうが。ただ、あれが何の力なのかが……」


「お前、先程から何が言いたいんだ?力がどうしたというのだ」


「はぁ、それが昨晩、ブラット様が襲われました」


「何⁉︎襲われただと。それでブラットは、無事なのか?」


「はい、ブラット様は、ご無事ですが。それが……」


「無事ならば良いのだが。それで先程からお前は、何が言いたいのだ!」


「それが、ブラット様が襲われた時なのですが、とっさにガルド様が、お使いになっていた聖剣が、ん〜、何と言っていいか……」


「ガルドの聖剣が、どうしたというのだ?」


「あっ、いえいえ、そうでした!ブラット様は、その聖剣を手にされ、攻撃を防ごうとされたのですが、その聖剣の色や形が変わり、ブラット様には使えない筈の聖剣が黒い光を放ち、相手の魔法をかき消してしまいました」


 クレイデイルは驚き、


「それは事実か?ブラットにいったい何があったというのだ。だが、恐らくその黒い光とは、ブラットの中に眠る真の力と見て間違いないとは思うが……さて、その力とは何なのか。ん〜、そうだな。デルカ、すまないが至急ブラットをここに連れてこい!この場で見れば、その力が何か分かるかもしれん」


「では、早急にブラット様を、ここに連れてまいります」


 デルカは一礼して部屋を出て、ブラットのいるティールの街に、配下の者数名と向かった。


 そしてクレイデイルはベッドの上に座り、


「やはり、カトレアとガルドの子供と、いう事か。ただ、その力が何なのか、まだ分からぬがな」


 そして、クレイデイルはベッドに横になり、色々な事を考えながら眠りについたのだった…。

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