168話~時は来たれり……。
ここは名もなき城。轟音と激しい揺れは城だけではなくその周囲にも及んでいた。
そんな中ここ東側の広い通路では、ブラグジオスが元の大きさに戻り待機している。
「グオォォォォーンーー……」と咆哮が辺りに響いた。
クロノアとクレイマルスはそれを視認すると側まで歩み寄る。
「思ったよりも時間かかったね」
「ああ、そうやな。せやけど、まだだ。合図があるまでは待機せなあかん」
「うん、でもブラグジオス待ちって言ってたから……そろそろだよね」
そう言いながらクロノアは空を見上げた。すると左手の甲の黒きドラゴンの紋章が発光する。
それに気づいたクロノアは左手をブラグジオスに向けた。
少し時間を遡り――ここは、中庭の南側にある祭壇。
あれからハクリュウはラミアスの指示を待ちながら祭壇の上に腰かけている。そしてメニュー画面を開き、ガインから巨大な銃剣をどうにかして引き剥がせないかと模索していた。
「んー、全く方法がない分けじゃない。でも強力すぎるから、コイツまで巻き込んじゃうしなぁ」
そう思いながらガインをみる。とその時、左手の甲の白きドラゴンの紋章が光った。
「やっと、か」
そう言うと立ち上がり、左手を天高く掲げる。
一方その頃タツキは、デブピエロ悪魔の足止めをしていた。だが咄嗟にとった行動は、余りにも安易すぎたため失敗に終わる。
そうタツキがデブピエロ悪魔の足に剣を刺すも暴れられたからだ。
タツキは振り回されるもそれに耐える。しかし持っていた剣と共に、南側の祭壇付近に飛ばされ地面に叩きつけられてしまった。
「クソッ、このままじゃ間に合わない!!」
地面に叩きつけられるも、なんとかデブピエロ悪魔の動きを止めようと立ち上がる。それと同時に剣を構え直した。
だがデブピエロ悪魔は、南側の祭壇に向かい急加速している。
それをみたタツキは南側の祭壇へと視線を向けた。
「なるほど、そういう事か」
そうデブピエロ悪魔は、ハクリュウが何をしようとしているか気づいたからだ。
「そうなると、ガインの方に行かせないように阻止しねぇとな」
そう言い剣を構え直すとタツキは、デブピエロ悪魔へと突進する。
場所は変わり、ここは神々の塔の最上階にある異空間漂う部屋。
ラミアスは部屋の中央にある台座の上に置かれた水晶の前に立っていた。既に水晶は発光し虹色に輝いている。
水晶に両手を翳しラミアスは瞑想をしていた。
そして目を見開くと水晶に翳していた両手を天高く掲げる。
「白と黒 光と闇 世界の狭間を駆け巡る二体の竜 我が声に応じその姿を現せ 証を所持し者へその力の一部を分け与えよ!!」
そう詠唱すると掲げた両手から虹色に光る魔法が放たれた。すると天井には、徐々に円を描き巨大な魔法陣が展開されていく。
全て描かれると魔法陣が目の眩むほどの光を周囲に放った。そして、その光は塔の外まで突き抜ける。それは遥か上空の雲をも貫いた。
すると、名もなき城の上空に巨大な魔法陣が展開され眩く発光する。それと同時に、モクモクと黒い雲が立ち込めた。
それを感知するとラミアスは、再び名もなき城を映し出している画像をみた。
「……あとは、任せましたよ」
そう言いラミアスはクロノアとハクリュウを順にみる。その後、タツキを映している画像をみていたのだった。
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