135話〜未完成な能力?〜疑問〜

 ノエルとガインが戦っているその付近では、ミリアとカプリアがシェルズ城に加担する者たちと交戦していた。


 ミリアは本来の職であるトレジャーハンターになり、技を駆使しながら戦っている。


「ちょ、なんなのよっ!」


 そう言いながら、迫りくる者たちの攻撃をかわしていく。


(この数、一人や二人ならなんとかなるけど。でも……って、そういえばノエルっち、)


 ミリアはノエルのことが気になり、チラッと横目でみる。


(えっ!? って、ちょっとあれなんなの? みたことない武器。いくらノエルっちが強くても、あんなのまともにくらったら、)


 そう思うも、自分に迫りくる敵を攻撃するだけで精一杯だ。


(ごめん、ノエルっち……)


 ミリアはノエルを助けたいと思う。だが弱い自分が助けに向かっても、足手まといにしかならないと思いとどまる。




 一方カプリアは、目の前に魔法で光の壁を作り敵の攻撃から身を守っていた。


「流石にこの数では、私の能力を駆使したとしてもこなしきれぬ」


 そう思いながら周囲の状況を確認する。


(ミリア様の方は、なんとか凌いでいる。ノエル様の方は……。うむ、これは思ったよりも厄介な相手。まさか、この能力を持つ者が既に存在していたとは、)


 カプリアは険しい顔になり考え込んだ。


(うむ。かつて国同士で協力し合い、この能力の研究をしていたはず。

 またこの世界に大きな災いが降りかかった時に、異世界の者を召喚せずとも自分たちの力で解決できるようにと。

 だが確かグレイルーズの前国王が、急に態度を変えこの能力の開発に反対した。意図は分からぬがな。

 そのため各国の意見が割れ、このまま研究を続けるかどうかをコロシアムで決めることに……。

 エルフか、そうなるとホワイトガーデンの者。ホワイトだけで、能力の開発を進めていたというのか? もしそうだとして……いいえ、そうとは断言できません)


 そう思いながらガインをみていた。




 その頃レオンは、南側の祭壇へと向かっていたが、バルムの手下たちに囲まれ行く手を遮られる。


「このままでは、――」


(この場を切り抜けるのは困難。やはりこれまでなのか、僕にもっと力があれば……。

 ローレンスとマキシムが、この場所から姉上を離脱させてくれた。それだけでも、救いか)


 覚悟を決め頷くと杖を構え、目の前のバルムの手下の一人を鋭い眼光で睨んだ。


 その時、迫りくるバルムの手下と手下の間からガインが持つ武器がみえた。


「まさかあれは!?」


 その武器をみて驚き向かおうとするも、敵に囲まれ身動きがとれない。


「クッ、身動きがとれん。だが、なぜあの能力が使える?」


(確かあれは、先代王が他国の王と協力し――。だが、なぜあの者が?

 前に父上から聞いた話では、あの能力について書かれた書物を三つに分け各国で管理していると。

 その一部を昔みせてもらいましたが、あれとよく似ている。

 だけど、なぜ……。もしそれらの書物がすべて揃ったとしても、まだ未完成のはず。そうなると今目にしているものは、)


 そう思い首を傾げた。


 そうこうしてるうちに、周りを囲んでいたバルムの手下たちが、いつの間にかレオンの側までくる。


「流石にこれ以上、考えてる暇はなさそうですね」


 そう言うと杖を持ち直し攻撃体勢へと入った。


(気になりますが、今はここをなんとか切り抜けなければ、)

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