116話〜2人の身柄を確保{☆}

 ここは名もなき城の中庭が見える通路。


 タツキによりドルマニールが一瞬で倒され、それを目の当たりにしショックを受けたミスティは、その場に立ちすくんでいた。


(そんなあり得ない!?……あのドルマニールが、こんなあっさりと倒されるなんて……)


 シャナはその様子を見て、今のうちに捕まえた方がいいと思い、ミスティを警戒しつつ徐々に召喚した黒薔薇を消していった。


(……今ならば、容易く捕らえる事が出来るはず)


 シャナは、黒薔薇をすべて消し去ると、すかさずミスティの側に近づき抑え込んだ。


 ミスティはその拍子に我に返るが時すでに遅く、シャナの魔力が込められた手錠と鎖で身体を拘束され、身動きを取れなくされた後だった。




 一方カルテットは、倒れているドルマニールの所に来ていた。


 そしてカルテットが、倒れているドルマニールの身体を、隅々まで調べている。


「……生きている。だが、よく殺さず、ここまでの傷を……あのタツキとはいったい?」


 カルテットは、傷を負い気絶しているドルマニールが逃げないように、特殊な鎖で縛り上げていた。


「まさか、こんな傷だらけのお前を、捕らえるハメになるとは……。おい!ドルマニール。目覚めたら事情を、ちゃんと聞かせてもらうからな」


 縛り終えるとカルテットは、ドルマニールを担ぎシャナの方へと歩き出した。


 カルテットは、ミスティを拘束し終えたシャナを見ながら、


(シャナ嬢。良い判断です!これほどまでに成長されていたとは)


 カルテットは、シャナの近くまで来ると、担いでいたドルマニールを床に置いた。


「ディアナを起こして来ますので、この2人の見張りをお願いしたい」


「カルテット、分かりました。ディアナの事、お願いします」


 シャナは頷きカルテットを見た後、ディアナへと視線を向けた。


 それを確認するとカルテットはディアナの方へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る