114話〜特別な能力{☆}
ここは名もなき城。リッツとバルムは中庭付近の通路に転移していた。
「バルム。ここから近いのはグレイルーズの大臣の所だけど、どうする?」
「そうだな。ん?ちょっと待て!誰かこっちに向かってくる」
そう言いうとバルムとリッツは近くの物陰に隠れ様子をうかがった。
(あれって、タツキだよね。急いでるみたいだけど、どうしたんだろう?)
「リッツ。見た感じあの男、この世界の者じゃないみたいだな」
「見ただけで分かるの?」
そう言われバルムはリッツを見ると頷いた。
「まあな。それに相手の能力が、だいたいどの程度あるのか分かる。クレイを見た時もかなり強いと思った。だが、こっちに向かってくるヤツはそれ以上だ」
「バルム、すごいね。ねぇ、その能力ってどこまで分かるの?」
「ん?ああ。そうだなぁ……分かるって言っても、相手がどんだけのレベルなのか、パワーがどの程度あるかぐらいだがな」
バルムがそう言うとリッツは下を向き考え始めた。
(そうか。バルムにそんな能力があったなんて知らなかった。一緒に行動してなかったから、そのせいもあるけど)
「どうしたリッツ?ここまで来て、まさか怖気づいたんじゃないよな!」
「あっ!えーと……どうだろう。それよりどうする?」
リッツはそう言い誤魔化した。
「本当は2人で行動した方が良いんだが。俺はここにきている配下の者たちと合流するつもりだ。そういえばリッツ、お前の方は大丈夫なのか?」
「うん。僕も既に待機させてるから大丈夫だよ」
(……本当は待機なんかさせてない。僕の配下の人たちは……)
そうリッツの配下の者たちは、マインの森でバルムと合流する前に、全員ねむらせ拘束し簡単な結界を張りヒスイ村の空き家に置いて来ていた。
バルムは中庭の方へ視線を向けると、
「あの男をって言いたいが。中庭の方に1ヶ所だけ強い連中が集まってる場所がある。って事で俺はそっちに行く」
そう言うとバルムは口角を上げリッツの顔を見た。
「僕はそれで構わないけど。バルム大丈夫なの?」
「おいおい。俺の心配か?それはありがたいが。お前は自分の心配した方が良いんじゃないのか?」
「うん、確かにそうだね」
そう言うとリッツは笑顔を取りつくろった。
そしてバルムは中庭のノエル達の方へと向かった。
それを確認するとリッツは、一瞬どう行動するか迷ったが、タツキの動きを見てから行動する事にした。
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