104話〜ユウ覚悟を決める
ここは名もなき城の中庭が見える通路。タツキはドルマニールと戦っていた。
(さて、どう動く?……恐らくアイツは、俺が動くのを待っているはずだ。そうなると……やっぱ、ここは俺が先に動くしかねぇよな)
そう考えながらドルマニールを見ると、タツキは攻撃を仕掛けた。
一方シャナは、召喚した黒薔薇にミスティの監視をさせ、タツキとカルテットを交互に見ながら様子を伺っていた。
その間カルテットは、眠っているディアナの側まで来ると、周りをうろうろするチビ悪魔を退けながら、ディアナの身体を調べていた。
「どうやって起こしたらいい?それにしても器用な奴だな。眠っていると言うのに、このチビ悪魔を召喚するとは……」
そう言いながらカルテットは、ディアナをどう起こしたらいいか頭を捻り考えていた。
その頃、中庭の儀式場ではユウが玉座に座り、オルドパルスと水晶に封印されているディスペアーと話をしていた。
「……今の話をまとめると。オルドパルス、俺が真の魔王として……その力を手に入れる為には…………」
そう言いながらユウは頭を抱え考え込んだ。
「ユウ様。その力を手に入れる為には、今直ぐディスペアー様に儀式を行ってもらわなければなりません」
オルドパルスはそう言いながらユウを見た。
「ん〜、それは分かる。だけど……これは前から思ってた事だ。……何で、俺は魔王として召喚されたんだ?」
ユウは不思議に思いオルドパルスとディスペアーに聞いた。
「それは、どういう事でしょう?」
「いや、オルドパルス……他の奴は勇者として召喚された……なのに、何で俺だけ魔王として召喚されたのか気になった。……ただ、それだけなんだけどな……」
そうユウが言い考え込んでいるとディスペアーが話し出した。
「うむ、ユウ。お前が何故、魔王として召喚されたのか。その事に付いては、我にも分からん。だが、今我が言える事は、お前には元々その資質があったという事なのだろう」
「……俺に、魔王としての資質が?…………」
ユウはそう言われ悩んでいた。もし、魔王の力を手に入れる事が出来たとして、自分がどうなるのかと。
(もし、手にする事が出来たとして……本来、魔王って言ったら悪の心を持っていて、この世界を滅ぼす的な存在だよな)
ユウはそう考えながら頭の整理をしていた。
(だけど、俺が召喚された本当の理由は、魔神ディスペアーの器になる為だった。だが、状況が変わり、今度は俺が真の魔王になる。……って、やっぱりどう考えても納得がいかない!)
「ユウ様。何を悩まれて居られるのでしょうか?」
「オルドパルス。……どう考えても納得が……何で俺が真の魔王にならなきゃいけないんだ!?……他の奴は勇者……俺だけ魔王、って……」
ユウはそう言うと一点を見つめ下唇を噛んだ。
「ユウ。なるほどお前は、魔王ではなく勇者になりたかったという訳か。だが、今更それを変える事は不可能だ。今お前が選ぶべきは、魔王の力を手に入れシェルズ城の者達を倒すか?それとも、この力を手に入れず奴らに挑むか?の、どちらかしかない」
そうディスペアーが言うと、ユウは下唇を更に強く噛みしめた。すると、下唇が切れ軽く血が滲み出た。
「ああ、そうだな。……」
(どっちを取るか?……悩んでる暇はない。だけどなぁ。魔王は嫌だ!しかし、……そもそも今のまま戦って、勝てる相手なのか?それを踏まえると、やっぱり魔王の力を手に入れるしかないって事なのか……)
そう言い考えユウは1度、目を閉じ深呼吸すると覚悟を決め、オルドパルスを見て話し出した。
「オルドパルスにディスペアー。……凄く悩んだけど。………」
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