番外‥㉓〜ラストバトル・そして、バトンタッチ‥後編
ユウとリュウキは同時に攻撃を仕掛けた。
(タイミングさえ合わせる事が出来れば、剣と拳を自在に切り替える事が出来るバトルマスターの方が有利!それに、懐にさえ入り込めれば、必殺の拳を撃ち込めるバトルマスターに勝機があるはず。)
(ユウ。バトルマスターか……剣か拳どっちでくるつもりだ?)
リュウキは刀の柄を右手で握り左下段に構え鞘から素早く抜くと、
《黒龍抜刀術 鷹の構え!!》
ユウの死角から斬り上げ、黒龍の残像と共に鷹が獲物に襲いかかるように、素早く斬りつけた。
だが、既にユウは剣を目の前に翳しており、ガードするようになぎ払い、リュウキの刀を飛ばした。それと同時にユウの剣もその勢いで手から離れ吹き飛んだ。
(ユウ、何を考えてる?剣を犠牲にして。)
(今度こそ、絶対にタイミングを合わせる。)
リュウキは落ちた刀を取り、構え直そうとした。とその時、ユウは何も武器を持たずリュウキ目掛け突進した。
リュウキはそれを見て刀から短刀に持ち替えた。だが、既にユウはリュウキを射程内に捉えていた。
《剣闘殺秘技 闘牛の大竜巻!!》
ユウは低い体勢でリュウキの懐に入り、持ち上げようとしていた。
(このままじゃ、間に合わない!)
リュウキは短刀で突き刺すが、ユウは既に一時的に防御を強化していた為ダメージがあまりなく、そのまま台上の端スレスレの方まで投げ飛ばされた。
(よし、仕掛けるタイミングは少しズレたけど何とか大丈夫だと思う。後は、次ミスらなきゃ、このままいける。)
ユウは投げ飛ばしたと同時に、リュウキの前に駆け寄り抑え込もうとした。
その瞬間……。
「ユウ。なるほど、そういう事か……。」
(……だから、色々な意味でタイミングを合わせずらいバトルマスターを封印してたって事か。)
「え!?」
(し、しまった!?焦りすぎた……このままじゃやられる!)
そうリュウキは既に体勢を整え短刀から一対の刀に持ち替えるとユウの動きをみていた。
そして、一対の刀を交差すると、向かってくるユウ目掛け、
《二刀流
(な、何でこんな間近で!体制が、クッ、間に合わない。クソォッ!仕掛けるタイミングを間違えた〜。)
一対の刀を前に押し出しクロスを描くと、鋭い刃の斬撃と刃がユウの腹部を直撃し、台上の真ん中まで弾き飛ばすと、ユウはダメージを真面にくらいそのまま倒れ込んだ。
リュウキはユウの近くまでくると、
「ゲームオーバーみたいだな……。」
「リュウキさん。誰だって、あんな攻撃を至近距離で受けたらもう何も出来なくなります。リュウキさんが強いって分かってるけど、なんか凄く悔しいです。」
「いや多分、お前があそこでタイミングを上手く合わせていたら、俺はお前に勝てなかったかもな。それがお前の敗因でもあり弱点でもある。」
「リュウキさん。あれじゃ流石にバレますよね。」
「ああ。お前が技を決め俺を投げ飛ばしたまでは良かった。だが、その後お前は焦り過ぎ技を使って来なかった。それと、あれじゃ動きが単純過ぎる。ん〜性格のせいなのか?」
「はぁ、どうなんでしょうね。やっぱり、リュウキさんには敵わなかった。だけど今回戦ってみて、更に俺の憧れであり、目標の人だと思う事が出来ました。ハハハ……。でも、これで、もう……。」
「ん?ユウ、俺はまだこのゲームを辞める訳じゃない。もし、何か相談したい事があれば、いつでも聞いてやる。」
「はい、ありがとうございます。」
「さて、結果は出たしそろそろここを出て正式にお前にギルマスの座を譲らないとな。」
「その事なんですが。本当に俺がこのギルドを……。」
「ああ、そうだな。まぁ、試合は俺の勝ちだったがお前は良くやった。後の事はよろしくな!」
「リュウキさん。はい、分かりました。対戦ありがとうございました!!」
ユウは画面を見たまま何故か涙が出ていた。
リュウキも画面を見て目に涙を浮かべていた。
そして、リュウキとユウはバトル会場からギルドの中心部に向かった。
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