番外‥㉒〜ラストバトル・そして、バトンタッチ‥中編
ユウはリュウキの出方を伺っていた。
リュウキはユウの様子を伺っていたが、仕掛けてくる様子はなかった。
(ん〜このまま、こうしていても仕方ねぇしな。ここは、俺が動くしかないだろうな。)
ユウは光龍を待機させていた。
(リュウキさん、なかなか動かない。でも、ここで下手に動けないし。)
すると、リュウキが動いた。そして、既に職業をソードマスターに変えていた。
ユウはリュウキが動き装備が替わっている事に警戒した。
(あれ?あの装備見た事無いんだけど。でも、ソードマスターなんだよな?)
その装備とは、入手困難と言われている伝説の黒龍装備シリーズ一式だった。
(あの装備の事は後で聞こう。今は集中しないと。)
(フッ、さてと始めるか……。)
リュウキが剣を一振りすると、斜め一直線に鋭い刃のような黒い斬撃がユウを襲った。
ユウは瞬時に鞭をしならせ光龍に指示を出した。
すると光龍は黒い斬撃に突っ込んだ。
光龍は黒い斬撃と共に跡形も無く消えたが、斬撃を全部打ち消す事ができず、攻撃を受け少し後退した。
(流石に打ち消すので精一杯か……。)
(ユウ。何のつもりだ……。)
リュウキはすかさずユウに近付き、後ろを捕らえると、
《黒龍剣 雷龍翔!!》
蒼白い電気を帯びた剣を斜めに大きく振り下ろすと、蒼白い電気を纏った黒龍が放たれた。
するとユウは振り向き鞭を黒龍にあて一撃で弾き飛ばした。弾き飛ばされた黒龍は龍騎目掛け飛んできた。リュウキは慌てて盾を翳すが攻撃が当たり膝をついた。
そして、ユウは素早い動きでリュウキとの間合いを取った。
すると、リュウキは瞬時に体勢を整えユウとの間合いを詰め懐に入り剣を振り下ろそうとした。
が、しかし……そこにはユウの姿は既に無く、リュウキの目の前に居たのはサーベルタイガーだった。
……リュウキの動きを冷静に読んでいたユウは、リュウキとの間合いを取った後、素早く左手で黄色の宝石を取り出し、既に召喚に成功していた。
《宝石召喚 「サーベルタイガー!!」》
ユウは召喚した所にリュウキを誘い込み、自分はサーベルタイガーをその場に置いて後ろに退いていた。
「うげっ!?何でサーベルタイガーなんだ!もう見たくないと思ってたのに〜。クソ〜……。」
リュウキはサーベルタイガーから後退し、間合いを取った。
(うっ……。見るだけで吐き気がしそうだ。流石に、コイツの肉はもう食べたくない。まあ、リアには居ないから食べる事はないがな。)
ユウはその光景を見て不思議に思った。
(リュウキさん、何でサーベルタイガーから遠ざかったんだ?まさか、あっちの世界で嫌な思い出でもあるのかな?ん〜サーベルタイガーに向かって何か叫んでたし……。)
ユウは鞭をしならせ、サーベルタイガーに指示を出した。
《虎牙殺爪撃!!》
サーベルタイガーは、雄叫びをあげると体に真紅の炎を纏い、驚異的な瞬発力を生かし、リュウキの目を欺き、研ぎ澄まれた鋭利な爪と牙でリュウキに襲い掛かった。
リュウキはそれを見て、咄嗟に盾をサーベルタイガーに向け、
《黒龍壁 龍結翔円舞!!》
するとリュウキの詠唱に呼応し盾が黒い光を放つと、勢いよく黒龍が飛び出してきた。
黒龍はリュウキの周りを翔けめぐり無数の円を描くと、夜空のように黒く光り輝くベールの結界が、まるでブラックホールのようにサーベルタイガーを飲み込んだ。
「やっぱり、そう簡単に勝てる訳ないよな。頭では理解していたつもりだけど、リュウキさんの強さは僕の想像を遥かに超えている。」
「ユウ、お前がこんなに強くなってたとはな嬉しいよ。これなら直ぐに終わらずに済みそうだ。だがお前はこの程度の攻撃じゃ満足していないようだな。」
リュウキは剣と盾を黒龍の刀に持ち替え職業をサムライに変えた。
「リュウキさん。また職業変えたんですね。今度はサムライか……。ん〜どうしようかなぁ。」
ユウはプリセット画面を見ていた。
(ん〜リュウキさんはその状況に合わせて、職業を変えてる。って事は、俺も変えても問題ないよな。)
ユウはプリセットから選び職業を変えた。
リュウキはユウの装備が変わったのに気づいた。
「ユウ。なるほど、お前も職業を変えて来たか。」
「この職業は、久々過ぎて扱えきれるか不安ですが、リュウキさんとやるならやっぱりバトルマスターの方が良いと思ったので。」
「そういう事か。だが、まさかな……。お前がその職業マスターしてたとは思わなかった。ん?それなのにビーストマスターってどういう事だ?」
「ただ単に、この職業飽きたしビーストマスターの方が面白いと思ったからかなぁ。」
「はぁ、飽きたって……まあいい、そういえばお前って、いくつ職業マスターしてるんだ?」
「さあ、いくつかな?そうだなぁ……リュウキさんが教えてくれるんだったら教えても良いですよ。」
「教えても構わないが、今はやめておく。お前にはタネを明かさない方が良さそうだしな。さて、改めて始めるとするか。」
「そうですね。」
(……とは言ったけど。ん〜大丈夫かな?タイミング合わせるの苦手なんだよなぁ。だからバトルマスター封印したんだけど。やめておけば良かったかなぁ……。)
ユウは太目の剣を構え、リュウキは刀を構え同時に攻撃を仕掛けた。
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