71話〜亡き父の名
その頃アリスティアとシャナは、中庭に向かっている途中、話し声が聞こえたので、気配を消しその部屋を覗いてみた。
するとそこにはユリナとシグマが倒れていて、その近くには見知らぬ男がいた。
アリスティアはその光景を見ていて、
「シャナどう思う?」
「アリスティア。シグマもやられていると言うことは、もしかしたら、他にもオルドパルスの儀式の邪魔をしようとしている者達がいる、と。考えたの方がいいのでしょうか?」
シャナがそう言うと2人は考えたが、
「……考えても答えは出ない。それに考えている余裕はない。」
「そうでした。早くユリナ様を、助けなければいけませんね。」
そう言うと、アリスティアとシャナはそっと気づかれないようにそっと部屋の中に入った。
部屋に入るとアリスティアはある事に気付き、慌てて自分の口を手で塞ぐと、シャナもそれに気がつき手で口を塞いだ。
(危なかった。これは強力な痺れ薬か?あの男、相当用心深いらしい。部屋全体にこれを撒いて置くとは。)
アリスティアがそう思っていると、男は2人が入ってきた事に気がつき、
「おいおい。そこのお2人さん。それでも気配隠してるつもりか?」
そう言うと男は、いやヘンデルはアリスティアとシャナがいる方に歩み寄って来た。
アリスティアとシャナは、その男が近づいて来るのに気がつき身構えた。
「お前は誰なんだ?何の為にここにいる?ユリナ様は、お前が!?」
「俺はヘンデル・ラヌス。いや、俺が来た時にはあっちの男は伸びていた。そして、こっちのユリナって言ったか。回復出来ず動けずにいたが、回復されても困るんでな、痺れ薬で動けなくしておいた。お前達は、このユリナの仲間と言うことは、勇者側の者達と言うことになるな。」
「ヘンデル・ラヌス!?その名前、何処かで聞き覚えがあるのですが……。」
「シャナ。知っているのか、こいつを?」
「ほお。俺の名前を知っていると。お前は……ん?ちょっと待て!今シャナと言ったか?」
「はい、私はシャナ・バイオレットと申します。まさかとは思いますが……。」
「な、何で、シャナ嬢が、ここにいる!?」
「なるほど。貴方は、そう言うことですか。それと、ヘンデル・ラヌスという名は、私の父の名前なのですが、何故貴方がその名前を?それとも同姓同名なのでしょうか?でもね、私の名前に驚きましたよね?という事は、貴方は私の知っている人物という事ですよね?それに、私の事をシャナ嬢と……。」
「シャナ。それはどういう事だ?お前の姓は確かバイオレットで、父親の姓がラヌスって?」
「アリスティア。私の父は数年前になくなり、今は母方の姓を名乗っています。ですが、この男は私の亡き父の名を……。」
するとヘンデルは不敵な笑みを浮かべながらシャナをみた。
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