49話〜悪魔のクロノア

 ここは名もなき城の地下通路。クロノア達は何故か一階ではなく地下にいた。


「あのさぁ。何で私達、地下にいるわけ?」


「あはは……。クロノア様、何ででしょうか……。」


 ディアナは冷や汗をかきながら言うと、グロウディスが頭を抱えながら、


「あの時、ディアナとテリオス様が罠に気づかずそれに触れ、地下に落ちて現在この有様だ!さて、どうしたものか。」


「はぁ。申し訳ない……。」


 テリオスは溜息をついたあと謝った。


「申し訳ありません……。」


 ディアナは申し訳なく俯向き謝った。


「まぁ、こんな事で愚痴っても仕方ないし。なんとか、ここから抜け出さないとね。」


 クロノアがそう言うとグロウディス達は頷き、抜け道がないか探す事にした。



 一方シグマはクロノア達を追い地下通路に来ていた。


 そしてシグマはクロノア達を見つけ近づき、少し様子を見る為に物陰に隠れていた。


(ん?こんな所にいるって事は、まさかあいつら、あんな単純な罠にかかったって言うのか?)


 シグマはそう思いながらクロノアをみて、


(……ちょっと待て!こ、これは、アキリシア様以上に可愛いんじゃないのか?でも誰なんだ!この世界の女にしては妙に浮いているように見えるんだが?)


 シグマは考えながら様子をみていたが、どうしてもクロノアの事が気になり側で確認したくなり、攻撃を仕掛けてみることにした。


 クロノア達は、行ったり来たり疲れはて、とりあえずその場で休む事にした。


「どうするのよ!こんな所をウロウロしてても仕方ないんだけど。」


 クロノアがそう言っていると、背後から殺気を感じクロノアは慌てて振り返った。すると、そこにはシグマが立っていた。


 グロウディス達は慌てて身構えた。そして、クロノアは身構えながら、


「ちょ、ちょっと何なのよ!?私の背後とるなんて、いったいあんた誰なわけ?」


「俺はシグマ・ラクスだ!なるほど、ルックスも声も俺好みだ。ん〜、やっぱりどう見てもこの世界の女には見えねぇが?」


「クロノア様、下がっていて下さい。ここは、私が相手をします。」


 そう言いながらディアナはシグマを睨みつけた。


「ふぅ〜ん。なるほど、クロノアって言うのか。それで、お前は何者なんだ?」


「ちょっと待って、こいつは私が誰だか知りたいみたいだから教えてあげる。クロノア・マリース・ノギア。ディアナに召喚された異世界の者って事でいいかな?」


「ん〜、長くて読みにくい名前だな。まぁ、それ以外はかなりいい線いってる。どうだこんな事して怪我するより俺と組まないか?いや、俺と付き合ってくれ!」


 そう言うとシグマは真剣な眼差しでクロノアを見ていた。


「あ〜えっと……シグマさん?もしかして、そんな事を言いたくて私の前に現れたんですか?」


「クロノア。ああ、本当は、指示どおり動きを見張ってなきゃいけないんだが、お前を見かけつい声を掛けてしまった。」


「はぁ、えっとですね……ごめんなさい。私はね片想いだけど好きな人がいるから。」


「そいつは、ここにいるのか?」


「うん。側にはいないけど、この城にいる。」


「そいつの名前は?」


「聞いて、どうするの?」


「決まっている。そいつを殺すだけだ。」


「ちょっと待って!何でそうなるわけ?」


「もちろんお前を奪う為に決まっている!」


「はぁ、奪うって……何でそういう話になるわけ?」


「俺がお前を好きになったからだ。」


 シグマがそう話をしていると、グロウディスはそのやり取りを見ていて呆れ果て、


「おい!いい加減にしないか!!」


「なんだ、このおっさんは?」


「お、おっさんって……俺はグロウディスって名前がある。それに、これでもまだ30代だ!あ〜いや、こんな事を話している場合じゃない。そういえば、お前シグマって言ったな?」


「ああそうだが、それがどうした?」


「グレイルーズ、そしてシグマ。もう一つ確認するが、お前の職業は武道家じゃねぇか?」


「ああ、そうだが。さっきから何なんだ?」


「なるほどな。何処かで見たことがあると思っていたが、昔あのアリスティアと一緒にコロシアムに出ていたよな?」


「ああ、出ていたが、そういうあんたも出ていたよな?グロウディス・アバロン。確かホワイトの聖騎士長だったはず。」


「知っていたとはな。確か通り名は、疾風烈拳のシグマだったか?だが、お前程のやつが何故オルドパルスなどに手を貸す?」


「そう言われてもなぁ。俺は元々オルドパルス様の配下なもんでね。」


「疾風烈拳のシグマか。確か、あの時相当な怪我人が出たと聞いているが?」


「テリオス様。確か、あの時はいなかったんですよね。私は間近で見てましたが、かなり強烈過ぎて顔まで覚えてませんでした。まさかこいつが……。」


「ん?よく考えたら、このメンバー面白いじゃねぇか。ん〜テリオス聞いた事があるような気がするんだがまぁいいか、あんたがホワイトのグロウディス聖騎士長で、そしてお前ディアナって言ったよな?」


「ああ、そうだけど?」


「ん?ブラックのディアナ。どこかで聞いたような……あー思い出した!まさかとは思うがお前、あの黒悪魔のディアナなのか?」


「ディアナが黒悪魔って、どういう事?」


 クロノアが聞くとディアナはシグマに詰め寄り、


「おいお前!私を黒悪魔って……。」


 ディアナはシグマを睨みながら手を震わせていた。


「ディアナ!挑発に乗るなやめておけ。」


 テリオスはそう言いながらディアナをなだめていた。


「俺は事実を言ってるだけだけどな。確か召喚を失敗して……。」


「黙れ!!あれは確かに弁明の余地はないと、私は思っている。」


 ディアナは泣きそうな顔になっていた。


「なるほどな。あのレギオンの魔の惨劇はディアナがなぁ。」


「グロウディスさん。魔の惨劇っていったい何があったの?」


「クロノア。お前も聞きたいよなぁ、何があったか?」


「シグマ黙れ!!それ以上言うな!ああ、思い出したくない。あの事だけは……。」


「なぁクロノア。知りたくないか?」


「うん、そうだね。確かに知りたいかも。」


「クロノア様……。」


 すると、シグマは話し出した。


「……ある街に、1人の新米召喚魔導師がいました。」


「わぁ〜、やめろぉ〜。」


 シグマはそれを無視して更に話し出した。


「その新米召喚魔導師は、あろうことか悪魔を召喚してみたくなり悪魔を召喚しました。」


「だ、だからやめろって言ってるだろ〜〜。」


 ディアナは地面に座り込み耳を塞いだ。シグマはその光景を見ながら見下ろし笑みを浮かべ、


「そして、その召喚は失敗して沢山のチビ悪魔が面白い程にブラックレギオンの至る所に現れ溢れ湧いてきたという事だ。」


「はぁ、あ〜……。」


 ディアナは精神的に打撃を受け、身も心も力尽きてしまった。


「それって……ディアナのイメージが。ぷぷっ、ごめん我慢できない。笑いこらえるのがやっとなんだけど。チビ悪魔が沢山って、やっぱ無理。あははは……。」


「クロノア様、もういいです。はぁ。」


 ディアナは下を向き溜息をついた。


「ふっ、ここはこのぐらいにして、じゃ俺はクロノアの好きな男を血祭りにしてくるとしよう。異世界の者で男はあいつしかいないだろうしな。多分、ライロスの所だろう。」


「ち、血祭りって!シグマ、ちょっと待って。ハクリュウには、手を出さないで。そのつもりなら……。」


「ほお。そいつの名前って、ハクリュウって言うのか。名前も気にくわねぇ。血祭りよりも嬲り殺しがいいか。」


 シグマがニヤッと笑うと、クロノアは杖を構えて、


「だから手を出すなぁ〜。」


 クロノアはそう言い攻撃をしようとしたが、


「へぇ〜、クロノア様ってハクリュウ様が好きだったんだぁ。そうかぁ、この事を皆に教えてあげないとねぇ。」


 と、ディアナは意地悪気味に言った。


「はは……ディアナさっきの事、かなり根にもってるのね。」


「じゃそういう事で、俺はあきらめないぜ!クロノア。またな!」


 シグマはクロノアに投げキッスをすると、何処かへ行った。


「な、何なのよ!あいつ、わけが分からない。てか、もしかして抜け道知ってたんじゃないの?」


「恐らく知ってるだろうな。ククク……だが、クロノア様が、あのハクリュウの事が好きだったとはな。」


「グロウディスさん。その事は全て忘れてくれないかなぁ。ディアナは忘れてくれるよね?それにテリオス王子もね。」


 クロノアはディアナ達を見つめながら、顔を引きつらせ背後に黒いオーラを漂わせていた。グロウディスとディアナとテリオス王子は何か嫌な悪寒が走り、


(あ、あたしはもしかして、本当の悪魔を……いやまさかそんなはずは。)


((ディアナ!まさか本当に悪魔を召喚したんじゃ!?いやまさかな……。))


 そしてクロノア達は、またここから出る通路をひたすら探し歩くのだった。

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