その2
「しっかし、奴らは頑強じゃな」
遙華は車が夜の潜伏場所に着いたと同時に呆れながらそう言った。
先程までの3時間弱、ルコ達は都市内をぐるぐる回っていて、猪人間達の体力が底をついたのか、ようやく彼らは村の方へと撤退していった。
「そうね。1時間ぐらいで片が付くと思っていたのだけど、ちょっと甘かったかもしれないわね」
ルコは自分の立てた作戦に疑問を抱いていた。
昼間の戦闘で猪人間達が普段は寝ている時間だったからこれぐらいで済んだのかもしれないと感じていた。そして、今回も運に助けられたのかもしれないとも思っていた。
「都市がもう少し広ければ、もっと早く終わったのでしょうけど、現状ではこれで良かったのではないでしょうか?無事切り抜けられましたし」
瑠璃は逆にルコの案を評価した。
「そうじゃな、これで奴らの性格だけが分かっただけではなく、底なしの体力面も身に沁みたのじゃからこれはこれでありじゃと思うのじゃ」
遙華も瑠璃と同じくルコの案を評価した。
「そうね、みんな、無事で良かったよ」
恵那は現状に満足するように言うと、
「そんな事より、ご飯にしましょう。あたし、お腹減っちゃったわ」
と笑顔で言うと、作業区画へと歩いていった。こういう脳天気なところが恵那のいいところかもしれない。結構苦労した後に、こういう言葉を聞くと場の空気が一気に和んだ。
残された三人はお互いに顔を見合わせながらちょっと苦笑してから恵那の後を追っていった。
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