その4

「ルコ、遙華、凍死しなくて良かった!」

 後部ドアから車に入ったルコと遙華は恵那の訳の分からない出迎えを受けた。

「こんな短時間で凍死なんかしないのじゃ」

 遙華はそう言ったが、それを無視するかのように、

「ほんと良かった」

と恵那は言いながら駆け寄って二人を抱きしめた。しかし、

「冷たっ!」

と言って恵那はすぐに離れた。そして、急に態度がよそよそしくなった。外で冷えた二人の体が思ったより冷たかったからだ。

「恵那、主の態度の方がよっぽど冷たいのじゃ!」

 遙華は恵那の態度に呆れたように言った。

 その様子を奥で見ていた瑠璃が思わず吹き出していた。

 そんな様子をルコはポカンと見ていたが、しばらくして我に返ると、

「そんな事より、村の様子はどう?マリー・ベル」

と大事な用件を聞いた。

「現在のところ、村6,7ともに大きな動きはありません。村8は不明ですが、今すく村々を高速で抜けていく事を提案します」

 マリー・ベルはそう返答した。

「ならば、すぐに準備しましょう!」

 ルコはそう言うと、車の前部座席に向かった。遙華と恵那もそれに続き、奥にいた瑠璃も車の前部座席に向かった。

「あ、そうだ、マリー・ベル、本格的な冬の到来に備えて、防寒着を用意したいんだけど、空別からべつに着いたらカタログを用意してくれる?」

 前部座席に向かう途中でルコはそう言った。

「はい、承りました」

 マリー・ベルがそう答えると、他の三人は嬉しそうに笑顔になっていた。女の子のなんで新しい服が楽しみなのだろう。

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