第2話

(上手くやっていけるのかしら)


膝丈のスカートに、キッチリと留めたブレザーのボタン、2つの三つ編みに眼鏡。中学の頃からずっとその格好で過ごしてきたルナは途方に暮れていた。

中学の同級生がなるべくいない高校を選び、入学式を終えて席に着いたはいいが、周りはもう既にスマホを取り出し、数人ごとに固まって連絡先を交換している。

もう諦めて本でも読もう、と思って机に向き直ると、


ドンッ

「ひぇっ」


背中に強い衝撃を受け、思わずおかしな声が出てしまった。そのせいでクラス全体の目が集まっているのが分かる。まるで顔から火がでそうだった。


「わりぃ、巫山戯てたらぶつかっちゃって!

怪我ないか?俺向井陽太、お前名前は?」


高校生ってこんなにハキハキと喋るのね、などとボーッとしながら聞いていたため、返事が遅れてしまった。遠くからはえ、戸惑ってるとかカワイイんだけど〜、などともう関係の無い話をしている声が聞こえてくる。


「大丈夫です、怪我はありません。向井くんですね、月代ルナです。向井くんが怪我しないように気を付けてくださいね。」

と答え、会釈をして読書に戻る。

何故か少し驚いた顔をして去っていく向井くんの背中を見ながら、巫山戯てたと言っていたけれど、大分遠くにいたはずなのによく移動したなぁと考えていた。

そして、あんなに直ぐに謝ってくれたのにボーッとしていて、しかもぶっきらぼうとも取れるような受け答えをしてしまった自分を情けなく思った。

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