第18話 異世界で能力確認 (アイネ視点)
香澄ちゃんが自分の服を残して異世界へと旅立ってからおよそ1分。
教室の床に七芒星が浮かび、白く輝きはじめる。
私は香澄ちゃんの残した服を持ち、静かに待つ。
あたりが一層白く輝いたかと思うと、私の前に全裸の香澄ちゃんが立っていた。
「ようこそを異世界へ、藍音ちゃん」
「挨拶はいいから、とりあえず服を着ようか……」
私は香澄ちゃんに教室の床に散乱していた服を渡す。
二人でとりあえず香澄ちゃんのあてがわれた部屋へと移動しようとするが、どうにも警備の兵が多い。
そういえばこの世界でも私の超能力は使えるのだろうか。
香澄ちゃんに聞くと、
「私はサイコキネシスとか問題なく使えたよ。
とりあえずステータス確認して見たら?
超能力の関係は表示されないけど魔力は表示されるから」という。
「分かった。ステータス……」
私が呟いた瞬間、目の前に文字と数字が現れる。
体力9999+
魔力9999+
力 9999+
素早さ9999+
名前 宮川(ミヤガワ) 藍音(アイネ)
適性 古武術家
Level 1
体力 941045
力 933035
速度 887018
魔力 9999999^99999015
魔力適性 無色
スキル 言語理解 位相操作 往年の力
「うっ、何か二重に画面が見える」
「落ち着いて、私も最初そうだったの。
新しいステータス表示だけに意識を集中して」
「分かった。やってみるね」
香澄ちゃんのアドバイスにしたがって意識を一方の画面へ向けると上手く一方だけが見えた。
「どう?」
香澄ちゃんが聞いてくる。
「私にも往年の力が宿ったみたい。あとよく分からない位相操作とかいうスキルがあるわ」
「どんなスキルかしら?そのスキルに集中してみて」
「うん……
……
……
……
とんでもないわね……」
「どんなスキルだったの?」
「読むわね。
位相操作:宇宙定数に介入し次元の存在をずらすことができる。
固有振動数の異なる世界に存在する際は、互いの構成物質が相互作用できないため、呼吸や栄養摂取ができない。
次元のずれをぶつけることで現存空間そのものに断裂を生じさせることもあるので取り扱いには注意を要する。
って書いてあるわね」
香澄ちゃんは専門用語の羅列に面食らう。
文系の香澄ちゃんには分からない単語が散ればめられているようだ。
「で、簡単に言うとどういう能力なの?」香澄ちゃんが聞く。
「うーん、簡単に言えるか分からないけど……
存在のずれた空間にアクセスできる能力?
たとえば、自分からは見えるけど通常空間の人からは見ることも触ることもできなくなる空間にとどまることができるような力かな?」
「すごいじゃない。その空間を通って相手の後ろに移動してから通常空間にもどれば、無敵ね」
「そうでもないわ。
次元のずれた空間では、そこにある空気で呼吸できなくなったりするから、息を止めておけるくらいの時間しか滞在できないと思うの。
それに私にはテレポーテーションもあるし……」
「そう、ある意味使いどころを選ぶ能力ね」
「それに、能力の特殊性から言って、おそらく魔力消費も半端じゃないと思うわ。
まあ、私たちの魔力量なら平気かも知れないけど……」
と、香澄ちゃんには言ったが、位相(フェイズ)をずらした空間の亀裂を波にして送り出せば、その亀裂にぶつかったものは強度に関係なく切断されるのではなかろうか。
船であれ、飛行機であれ、城であれ真っ二つにできそうだ。
しかも到達距離は無限かも……
ブラックホール並みに扱いにくい能力かも知れない。
ついでに宇宙定数に介入とか書いてあるけど、これ、下手したら宇宙の理(ことわり)そのものを破壊したり全く別物にしたりできるってことじゃないかしら。
わけわからないし、使わない方が良さそうな気がする……
「それじゃあ早速私の部屋へテレポートしてみて」
私が考え込んで知ると、香澄ちゃんが指示してきた。
そうだった。ここはまだ召喚の間だ。
いつ見回りが来るか分からない。
私はクレヤボヤンスを発動し、この宮殿での香澄ちゃんの部屋を探す。
目印は香澄ちゃんが空間転移したときに残してきた衣服だ。
説明通りの場所にあったその部屋は意外と簡単に見つかった。
この世界でもテレポーテーションは問題なく発動し、私と香澄ちゃんは全裸になることもなく香澄ちゃんの部屋へテレポートアウトした。
【次回更新は来週土曜日の夕方です】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます