第10話 召喚者の思惑 (宮廷魔術師長クルドニウス・マーリニア視点)
無事に召喚が終わり、今回召喚した異世界人たちはそれぞれ宛がった部屋へと案内した。
俺はあらためて国王グレゴリアヌス・ラトランド9世を訪ね報告する。
「大義であった、マーリニア宮廷魔術師長。
して、今回の首尾はいかようだ?」
「はい、上々です国王陛下。
ターゲットの勇者はまずまずのステータスを持ち、召喚に巻きこんだ39人の異世界人たちも使えそうな者が多数含まれています。
特に、最もステータスの伸びが期待できる17歳前後の者が38人で、これ以上伸びが期待できない25歳以上の者は1人しか含まれていませんでした。」
「それは重畳である。
して、使えない者はその25歳の者1名のみか?」
「いえ、極端にステータスの低い者が2名いましたので、折を見て始末いたします」
「それほどひどいのか?」
「はい、軒並み5歳児並のステータスで、鍛えても使えそうにありません」
「そうか、それでは成人の者と併せて3名の処置はその方に任せる」
「はっ、かしこまりました」
俺は王との謁見を終わると第3師団第5中隊長のベンジャミン・パリスの元を訪れる。
「おい、ベン。
今回の役立たずは認識しているな!」
「はい、宮廷魔術師長閣下。
変な格好の男1名と身長の低い女1名、唯一の成人女性1名です」
「そいつらの処分をお前に任せる。
いつも通り消せ」
「はい、閣下。
それでは、いつも通り楽しませてもらってから始末しても……」
「その辺りも貴様に任せると言っておる」
「はっ、ありがたき幸せ。
必ずやご期待にそって見せます」
「うむ、任せた」
こうしていつも通り使えない奴の処分を命じ、俺はその日の仕事を終えた。
【次話は本日20時更新予定です】
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