212.ベレカ駅
翌朝
起きかけの耳にちょうど車掌による車内放送が聞こえてきた。
どうやら、終着駅であるベレカ駅に到着するようだ。
そろそろ荷支度をしなければと思い、俺は体を動かそうとしたが、顔と体全体に何か重いものが乗っかっていて身動きが取れなくなっていた。
(なんでだ?体、が、動かない、ん?柔らかい?だとッ!……うん、いい匂い)
このままだと埒が明かないので、右手を何とか動かし顔に乗っている何かをどけようとした。
ぷにっ
(も、もしや、これは……)
「イヤン!そんなに触りたいの?ホントにここが好きなのね?」
どけようとして触っていたのは、ローザの胸だった。
「お、おう、なんか、その、すまん」
「いいのよ、いっぱい触りたいんでしょ?ほら、ほら!」
そういいながらローザは、ワタの顔に柔らかい部分をこれでもかというぐらい押し付けた。
「ん、んんーー!(く、苦しいっ!)」
「私のワタを返せ!」
「キャッ!」
「ほら、どうだ私のも大きいだろう?ほら、ほッ!何をする」
「ワタさんは渡しません!」
「ワタ殿!」
そのあとどこから湧いてきたのか、女性陣が代わる代わる俺の顔やら腕やらに胸を押し付けてきて、それはもう大変なことになっていた。
「あー!もう!いい加減にしてくれ!遅刻するからやめ!!!!」
「「「「はっ!失礼しました!」」」
何故、朝からこんなカオスなことになっていたのかと、ローザに問いただした。
どうやら、部屋割を決めた後も彼女たちは納得いかなかったようで、最終的にはみんなで押しかけてしまえという極論にたどり着いたようだ。
そして、俺とレナが寝静まったのを見計らってみんなでベッドの上になだれ込んだということだ。
もちろん、全員がベッドに乗り切れないので、そのほかの娘は床に他の部屋から持ってきたマットレスを敷き、そこで寝ていたらしい。
そんなことをしているうちに、列車はできたばかりのべレカの新幹線ホームに到着した。
こうしてエンペリア王国に当たり前のように新幹線を使って来ているが、これにはエンペリア王国王家とコンダート王国王家の今までの長い付き合いがこれを可能としている。
その付き合いや両国の治安が良いこともあって、国境はフリーパス(無関税・通行料無し)なっている。
これまでも軍事面でローザ率いる青の騎士団や(途中エンペリア王国西側国境付近で帝国の大規模攻勢があったため帰還)エンペリア王国海軍連合艦隊が東部海域へ応援としてやってきてくれている。
それ以外に、西部方面隊への食糧補給や避難住民の一部受け入れ等々、挙げるとキリがないぐらい支援をしてくれている。
もちろんコンダート王国側としてもこの恩には恩で返えさねばという事になり、その恩返し一環として相互連絡鉄道線とエンペリア王国内鉄道の建設をすることになった。
エンペリア王国内で計画されている路線は以下の通り(今後変更になる可能性あり)。
王都周回線
べレカ(西)~ベリー(北)~マリケ(東)~サンズ(南)~べレカ
全線単線(非電化)D51
ベイライン
ベレカ~ディシェン~ユクレイン
全線単線(非電化)D61
セントラルライン
ベレカ~テレシー~リードル
全線単線(非電化)D51
マウントエキスプレス
ベレカ~ノード~テキセス~ウィントン
全線単線(非電化)D51
軍事輸送1号線軍事機密全線複線(非電化)D62
軍事輸送2号線軍事機密全線複線(非電化)D62
軍事輸送3号線軍事機密全線複線(非電化)D62
軍事輸送4号線未定全線複線(非電化)D62
軍事輸送5号線未定全線複線(非電化)D62
同盟国間軍事輸送線 (べレカまで)
オルセシーゼ~ベレカ 全線複線(交流電化) E500(標準軌仕様)
国際連絡線
オルセシーゼ~ベレカ全線複線(交流電化)
521系A(150㎞/h対応型)
国際連絡線(特急)
オルセシーゼ~ベレカ 全線複線(交流電化) N683系A(200㎞/h対応型)
エンペリア王国内の在来線はすべて標準軌で全線単線非電化の方式をとることにした。
その為、ベレカ以西は蒸気機関車のD51やD61(標準軌仕様)等を主力とし、ベレカまでの国際連絡線のみはコンダート王国国有鉄道が保線、整備、営業まですべて管理することになっている、その為この区間全て複線交流電化することになった、そして、国際連絡線と駅構内への送電はコンダート国内から行う。
エンペリア側が(主に女王)民間に向けての鉄道の建設は消極的だ。
というよりむしろ、これによってこの国が現代化されるのを嫌がっているのかもしれない。
それが本当かウソかは定かではないが、しばらくは市民の足となる旅客路線をこれ以上増やさないようだ。
それより鉄道を軍事貨物輸送手段として使いたいようなので、軍事貨物線の建設がメインとなってくるだろう。
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