198.アルダート駅3
向かった先は、在来線24番線ホームのちょうど真ん中に位置するまるで空港にある管制タワーのようなところだ。
ここは地上ホームほぼ全体を見渡せる場所に位置しているので、何か異常などがないか監視する目的で作られている。
ここからは通過する列車が見えるので、鉄オタ的にはたまらないスポットだろう。
そしてちょうど下には試験運転や回送運転中の列車がひっきりなしに入線してきている。
こうしてひっきりなしに列車が入線してきているのかというと、近くに始まる旅客本格運用が始まる前に運転手と乗務員の訓練を行っているからだ。
「わぁ!こんなにいっぱい電車が走っているのね!しかもカラフル!ワタが元居た世界ではこれに毎日乗ってたのよね?!」
メリアは電車に興味津々ようで、まるで子供のように目を輝かせながら食い入るようにホームに入ってくる電車を見つめていた。
「そうだよ、でも、元居た世界では時間によってだけど電車の中が人で埋め尽くされすぎて苦痛でしかなかったよ……」
「え!そんなにアレに人が乗るのね!でも席はそんなにないみたいだけど?」
「席が空いてなかったら、立って乗るんだよ」
「え!そうなの!それからあれは?」
ここで見られる通勤・近郊型列車は主にE233系とE235系、E531系で、特急はE353系・E657系・N681系(両端の車両は非貫通)・T383系(JR東海)が見られ、これらが代わる代わるやってくるものだからメリアの興味が尽きない。
それからメリアは俺を質問攻めしてきて、気付けば1時間近くここにいた。
先ほどは、二人でずっと話しているところを見ていら立ちを隠せなかったミセア大佐は、メリアと一緒になって電車を眺めながら俺の話に耳を傾け、しまいにはメモまで取り始めていた。
ミセア大佐がメモを取り始めたのを見て、テーシャやサッシャ達もメモを取り出し、その光景はまるで工場見学に来た学生のようだった。
「……ていう感じかな、というよりアネッサ駅長、ここにきている路線はどうなってるんだい?」
「はっ、失礼しました、つい国王陛下の話に聞き入ってしまったもので、それでは私からそのことについてご説明いたしますね」
俺の問いかけに我に返ったアネッサ駅長はずっと脇に挟んであったファイルを手元に取り出し何線が乗り入れているのか説明してくれた。
アネッサ駅長は最初、苦も無く話していたが、膨大な数の路線・行先・種別・列車の種類があるので最後の方になると流石に息が上がってきていた。
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