鉄道編

193.異世界鉄道の旅!

 

 セレンデンス駅に着くと、そこには真新しいガラス張りの高架ホーム(2面4線の新幹線ホーム)と地上ホーム(6面12線の在来線・貨物線)の駅がそこにはあった。


 そして、はやる気持ちを抑えながら改札を抜け、この世界にとっては違和感しかないエスカレーターで新幹線21番線ホーム(上り)に登っていくと、そこには元居た世界で見慣れたエメラルドグリーンと白色、ピンク色の帯、そして特徴的な運転台より先に延びたロングノーズのJR東日本の東北新幹線E5系電車がそこにあった。


 これを見た俺は、うれしさと懐かしさに感極まって涙をながした。


「ワ、ワタ?どうしたの?……、泣かないで、ね?私がいるでしょ?」


 涙を流す俺を心配に思ったメリアは、俺の両肩を優しくさすりながら声をかけてくれていた。


 ミスティア隊のミセア大佐や隊員たちは、突然のことに困惑しかたまってしまった。

 当の俺は情けないことにメリアのそのやさしさも手伝い、その場に崩れ落ち本格的に泣いてしまった。


 この時の俺は、何も悲しくて泣いているのではなく、なつかしさやそれを上回る安心感がそうさせたのだろう。


 そんな俺に対してメリアは、崩れ落ちた俺を優しく前から抱きしめ背中をさすってくれていた。

 しばらくして落ち着きを取り戻した俺は、ゆっくりと立ち上がり新幹線E5系電車の車内へと足を運んだ。


 今回乗り込んだ車両は、新幹線として最高級の「グランクラス」と呼ばれる飛行機でいうファーストクラスに相当する車両だった。

 車内は間接照明を使っているためか落ち着いた明るさで、床はウールカーペットとなっていて歩いていて心地が良い。

 椅子はリクライニング機能付きで豪華さを際立たせるような白を基調とした本革表地のものとなっていて、座席間も広く取られているので非常にのびのびとした座り心地を堪能できる。


 そして、俺とメリアは二人掛けの席に腰かけしばしの休息をとることにした。

 護衛のミスティア隊はミセア大佐以外各車両に分散して乗り込んでいた。

 座ってしばらくすると、アテンダントがおしぼりと温かいお茶を持ってきてくれ、そのまた少し後に今度は和食のお弁当を持ってきてくれた。

 これもグランクラスの特徴で、席に着くとアテンダントによるこのようなサービスを行ってくれる。


 そうこうしているうちに、車両は目的地であるガンダルシアへと進み始めていた。




 ここからの予定は、まず東北新幹線E5系電車に乗ってガンダルシア駅まで行き(途中駅 ハミルトン駅)、ガンダルシア駅(多方向からの列車が乗り入れる巨大ターミナル駅)で一旦下車。

 新幹線名はJR東日本のものと被っているが、たまたまこの路線が東北方向に向かう路線だったので同じ名前にして車両もそれと同じものにした。


 駅構内を視察、その後ガンダルシア駅で在来線に乗り換えE531系でアルダート駅(国内最大の駅 52番線まで存在)へと向かう、ここでも視察をしたあと王宮へと帰ることとなっている。

 ここでもし余裕ができた場合は、そのままアルダート駅からキーレ駅(国内最大の貨物駅、近くにキーレ総合基地とキーレ港・キーレ工業地帯が隣接)にE233系3000番台で向かい帰りはN700系S新幹線に乗車することにもなっている。


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