185.作戦会議2


「次に現在までのカルロゼ周辺の帝国兵の動きについてだ、それについてはKCIA局長から話してもらおう」


 ヨナに促され、皆の顔の見える位置に歩いて行ったKCIA局長のウェスタ―・ジェネシスは少し緊張した面持ちで話し始めた。


 ウェスター・ジェネシスは先の大戦では陸軍情報局長として任官していた経験のあるベテランだ。

 そんな彼の風貌は黒いサングラスをかけ髪をオールバックにした、いかにも“裏”社会にいそうな感じで、体は内勤が多そうな情報局員にしては違和感のある筋肉量だ、彼の見た目を例えるならバ〇オに出てくるウェ〇カーだ(名前も似てるとか言わない)


「えー、ここからはKCIA局長のジェネシスから話させていただきます、現在カルロゼに進攻してきている兵員数はおよそ2万、そして敵はすでにカルロゼから直線で10㎞地点にある帝国領内のヤーニヒベルグ基地から動き始めたとの情報がウルス城奪還作戦開始時と同時期より入っていて、さらに現地住民から得た情報からだと恐ろしいことに敵はカルロゼとヤーニヒベルグの間にある山脈に地下トンネルを土属性魔術と他の魔術を使い掘削し、そこを通り攻めてくるようです」


 正攻法では勝てないと考えた帝国側はかなり強引な手法を取って来たようだ。

 残念なことにその情報はこちらには筒抜けだ。


「それを裏付ける情報として、カルロゼ付近の集落で活動している局員によると何やら山の方から何かをぶつけるような音と爆発したような音がするという情報が入っています、これはほぼ確実に敵の土属性魔術と爆発系魔術による地中を掘削する音だと考えます、敵はトンネルを開通させ、カルロゼの町のちょうど真裏に位置する集落の近くに出現すると予想されるので、そうなった場合は真っ先にその集落が攻撃される可能性があります」


「それはまずいな……、それで後どれぐらいしたら攻めてくる?」


「おそらく1~2日後には集落周辺にトンネルを開通させると思いますので、そのあとから本格的に攻めるとなると最速で3日後と予想されます」


 ジェネシスは少し申し訳なさそうに追加情報を話し始めた。


「最後に追加情報として、一点だけ、このカルロゼに進攻している部隊には帝国軍最新兵器が投入されているというものがあり、その最新兵器というのは魔術を利用した後装式のマスケット銃のようなもので飛距離はおよそ100mといわれています、今現在だとそこまで脅威になるとは言えませんが、これを接近戦で多用された場合間違いなくこちらにもそう少なくない被害が出る恐れがあるので注意してください、私からは以上です」


「聞いたか?こちらも国王陛下から賜りし兵器をもって調子に乗りすぎているといつか痛い目に遭うからな、ここからもまた気を引き締めてもらいたい、以上解散!そしてカルロゼに向かう部隊はすぐに準備を始め終わり次第出撃するように!」



 こうしてウルス城奪還作戦後、間を開けず次のカルロゼ作戦が開始されたのであった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る