184.作戦会議


 ワタとメリアを見送った後、早速ヨナは重要な次の作戦を実行に移すため前哨基地に戻り、そこに主要幹部を呼び会議を始めることにした。


 前哨基地の簡易会議室にはメランオピス隊のレナ、近衛軍団のリメリアと各師団長、第一戦車軍団長のリレイ、陸軍特殊部隊第一師団長フィザリオ・フラン陸軍少将とKCIA局長のウェスタ―・ジェネシスが集まっていた。


「さて、戦闘後すぐで申し訳ないのだが、次のカルロゼ防衛作戦と今後について話していきたいと思う」

 戦闘後すぐなので、部下を心の中で労いながらもヨナはカルロゼ防衛作戦の話を進め始めた。


「今回の主力部隊としてカルロゼに向かってもらうのは、近衛軍団所属第三師団(空挺部隊)に第四師団(機械化歩兵)と陸軍特殊部隊第一師団の三個師団だ。現地にはすでにテトラント城から守備隊5千を向かわせているので君らはそれの増援になる、それ以外の部隊……特にメランオピス隊は各基地に帰還するように」


「待ってください!確かに我々メランオピス隊はA(アルファ)大隊に大きな被害を受けましたが、まだ二個大隊の戦力を残しています!まだ我々はやれます!」


 ヨナから作戦参加部隊を聞いた後、自分の指揮する部隊が外されたことに耐えられなかったレナは抗議の声を上げていた。


「ならん!君らは今まで今回を含め二度の大きな作戦に参加して大きな功績を残した、そして被害を受けたとはいえまだ君たちは強力な戦力を保持している、しかし!今君たちはここで一旦英気を養い、残念ながらも命を落としていってしまった戦友たちを弔ってやるのが最大の任務なのではないのか?」


「はっ、ヨナ閣下のお気遣い感謝します、そのようなことを理解できなかった私をお許しください」


「いや、いい、君の気持ちは十分に分かっている……、さて本題に戻ろう、今回の作戦の要となるのが近衛軍団第三師団の空挺部隊だ、この部隊にはこの後セレンデンス基地に戻ってもらいそこから師団隷下のヘリにて移動しカルロゼに空挺降下作戦を行うための準備を行ってほしい、その前に近衛第四師団と陸軍特殊部隊第一師団は陸路にて向かいカルロゼ守備隊の直接的な支援を行ってもらいたい」


「ヨナ閣下、お言葉ですが我々近衛第三師団のみ先行し空挺降下にて敵兵を一層することで、今回の作戦を早期に完遂することができると思いますが、いかがでしょうか?」


 近衛軍団近衛第三師団師団長のレルシス・シトラス少将は、同軍団内の他の師団長と比べ小柄で手足は長くはないがその分鍛え上げられた体つきをしている、それ以外はごく普通の体型をしている。


 シトラス少将はこんな小柄な体つきをしていて、見た目は大人しく純情な感じでそんなに強そうに思えないが、実はベルやサクラよりも戦闘能力は上で、その根拠となった話として、過去に行われた大規模な模擬戦で大人のそれも屈強な男性兵士300人を相手にたった一人で勝ったという。


 そんな彼女は今の話を聞く限りだと自分たちだけの戦力で十分対抗できるので援軍はいらないのではないかと疑問に思い、周りと比べて小柄な体を少し目立たせるように大きな動作をとりながら手を挙げていた。


「いい質問だシトラス少将、確かに作戦初期の敵の撃退だけはそれで成功するだろう、しかし、敵を撃退した後果たして空挺部隊だけでその町を防衛し続けることはできるだろうか?ましてや帝国との国境と近いとなれば、不安要素は残るだろう?それに今回も空軍による上空警戒を常にしてもらうつもりだが、それでも限界がある、そこで継続的な防衛作戦を行うためにさらに二個師団を向かわせるのだ、このことにより空輸では運びづらいものも大量に運ぶこともできる……ここまで何かあるか?」

「いえ、ありません」

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