150.法執行機関と司法機関と準軍組織と
事件現場はミスティア隊第二大隊に任せ、二度も危機にさらされた俺達は流石に恐怖を感じ、アルダート城に留守部隊として残っていたミスティア第三大隊を呼び出し護衛してもらいながらアルダート城に足早に帰ることにした。
取り調べた結果、今回銀行強盗事件を起こした犯行グループは「革命騎士団」と名乗り、王家打倒を企んでいたようだ。衛視隊の大多数が戦場に行ってしまっている今、犯行グループを取り締まる人間が極端に少ないので、この機会を狙っていたらしい。
さらに詳しく聴くと、国内に潜んでいる帝国の工作員の支援もあったという。
これは由々しき事態なので早急に対処せねばならない。
銀行を襲撃した目的は、今後の活動資金を稼いで同時に協力者を集めようとしたようだ。
しかし“革命騎士団”にとって予想外だったのは、現場には偶然居合わせたミスティアによって鎮圧されてしまったことだ。
彼らの犯行に使われた武器は、完全にM4と同じ形状をした木で作られているもので、この武器の攻撃方法はマガジンのような部分にはめ込まれた火属性魔石の力を銃弾のようにして撃ち出す、そして、魔石の魔力が切れたらまるでマガジンチェンジをするのかの如く魔石を抜き出し、新しい魔石をはめなおすようだ。
この武器の長所として魔法が使えない人でも魔法弾を撃つことができること、発射音、反動がないことが挙げられ、欠点としてはまず近距離ではないと敵を行動不能にすることができない、真っ直ぐ魔法弾が飛んでいかない、エアソフトガン並みに弾速が遅い(93m/s程度)などが挙げられる。
もう一つ、爆発物が今回使われておりこちらはC4プラスチック爆弾と似たもので、起爆させるために火属性魔石を使用する。
上述した兵器はまだ召喚している現代兵器には到底及ばないとは言え、さらに強力なものが開発されてしまう恐れがあるので、このことについて細かく調査し開発元や製造元を探し出し、根絶やしにしておかねばならない。
そして、俺達を直接的に護衛し、銀行強盗事件発生時も活躍してくれたミスティア第二大隊だが、今回見ていて何個も課題が見つかった。
一つ目は初動対応の遅さで、二件とも事が起きてから動き出していたこと。二つ目は、緊急事態や非常事態が起きた時の統制がとれていないこと。三つめは、敵に対して数の暴力とばかりに突っ込んでいくところなどが挙げられる。
不幸中の幸いで、今回は負傷者があまり出なかったが、相手も同じ銃を持っていたらと考えるだけで恐ろしい。
なので、今後はミスティアを始め、ヴァルキュリア、グリムリーパー、ローレライ全隊を再教育させることにした。
その教育担当は陸軍特殊部隊の「メランオピス」隊にして、東部戦域から帰還してきたのち、みっちりと叩き込んでもらうことにした。
王城に帰ってきた俺は、すぐに後宮内にある自室へと戻り、今回のことで新たに必要性を感じた組織を作ることにした。
それは法執行機関(警察組織等)と治安維持部隊(準軍組織)である。
そもそも、この国には警察という存在自体ない、理由はすべて軍隊と軍の一部でもある国家衛視隊によって治安維持活動と犯罪者の逮捕などを行っていたからである。
ただ、国家衛視隊は犯罪者の現行犯と指名手配犯の逮捕しかできず、事件後の捜査は非常に限定的なことしかしない、その上、今は戦場に部隊を派遣してしまっているので、人員が圧倒的に足りない為、正常に任務を全うすることがすらできない。
これが今回の事件が起きてしまった、大きな要因の一つであるといえる。
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