142.メリアと初デート2
次に向かったのは、リカルド商会所属のリシャールキッチンと呼ばれる元の世界でいうところのファストフード店のようなところで、ここは新鮮な野菜や肉をパンにはさんでお手ごろな値段で提供するお店で、安いことと早く料理が出てくるということもあってか庶民から絶大な人気を誇るところだ。
ここは、ファストフード店らしく回転率が高いのか(一人のお客さんが店にいる時間が短いこと)、この時間にしては比較的席の余裕があり、運のいいことにテーブル席が空いていた。
「メリア、二人で座れるところが空いているし、ここにしないか?」
「そうね、そうしましょ!庶民の間で人気だって聞いていたから、丁度ここも気になっていたのよね!」
早速店に入る事にした二人は、まずどんなメニューがあるのか気になったので、入り口近くの小さいテーブルの上に縦長のメニュー表が置いてあったのでそれを見る事にした。
そこにはアメリカ発の有名なサンドイッチ屋のようなラインナップで、ベースとなる商品を選んだ後、パンやソース・追加トッピングを選べ、自分の好みのものにカスタマイズできるので、それを含めるとここで頼めるものは百近くある。
そして百を超えるメニューの中から頼むものを決め、店内へと足を踏み入れた。
入ってすぐ目の前に店員さんが横に4人並んでいるカウンターがあり、それぞれの店員さんの前に並び、そこで注文をして会計を済ませ、その場で料理を受け取る、まるで元いた世界でいうマ◯クみたいなスタイルのようだ。
そこで、俺とメリアが注文したのは、食パンを斜め半分に切ったものに、塩と酢・胡椒を混ぜたものがかけられたレタスとトマトと玉ねぎ・ハムが挟まれているこの世界でオーソドックスなサンドイッチにした。
この世界に調味料はあることにはあるが、最もポピュラーなものは塩や酢、胡椒、唐辛子、しょうが、生ニンニクといったもので、基本的な料理の味付けはこれらが多いそうだ。
希少なものやあまり出回らないものでいうと、はちみつや砂糖・ケチャップがあるようなのだが、理由としてまず、認知度が低いことと、生産している工場の規模がとても小さいこと、さらに希少な分価格が非常に高いということが挙げられる、このことから、貴族や大商人などの上流階級の人間しかこれを使わない。
値段は、日本円にすると1円ぐらいの価値という驚きの値段で、これで10×10×3(厚さ)㎝の大きさのパン二枚に野菜がたっぷり入っているのだからさらに驚いた。
コンダート王国の貨幣価値(コンダート“メル”)と日本の貨幣価値を比べてみると以下の通り(参考にデスニア帝国のデスニアテルも)。
日本円で一円の場合
コンダートメル=100M
デスニアテル=1,000T
となる
この“メル”という通貨単位はコンダート王国の同盟国のエンペリア王国も使用していて、“テル”という通貨単位はデスニア帝国以外に、イスフェシア皇国・テレン聖教皇国が使っている。
コンダートメルの硬貨の種類は以下の通り。
1コンダートメル 銅貨1枚
10コンダートメル 大銅貨1枚
100コンダートメル 銀貨1枚
1000コンダートメル 大銀貨1枚
10000コンダートメル 金貨1枚
すべての硬貨の中心には大きくMのアルファベットが書かれ、M右の縦線の部分に二本線が引かれ、その周りを取り囲むように月桂樹の葉ののようなものがあしらわれている。
このコンダートメル硬貨のすごいところは、大量生産されているものにもかかわらず一切偽造されたものが紛れ込まないことだった。
それはなぜがというと、硬貨一個一個に小さな魔術式が書き込まれており、これによって偽造を防いでいるのだという。
最初に見たカードといい硬貨といい、現代世界顔負けの技術を持っていることに感動さえ覚える。
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